眠り姫は籠の中

□AlL
4ページ/9ページ

「そんな…ハヤト!しっかりしろよ、なぁ!神になって助けたい奴らがいるんだろう!?」
「すみません…、先輩。僕、自分の目標に……先輩まで巻き添えにしようとして」

力なくハヤトは笑って、残った方の震える手でリュータの手を取る。

「罰が当たったんです、…身の程知らずな、願いをしたから」
「んな事ねぇよ、…死ぬな……ハヤト!」
「六さん」
「!………」

ハヤトが口から血を流し、苦しそうにしながらも穏やかに笑った。

「…先輩のこと、お願いしますね」
「………あぁ」

しっかりと、安心させる為に頷くと、ハヤトは満足そうに目を閉じた。

二度と、目を開くことはなかった。




「うぁああぁあ、あぁあっ!!」

リュータが泣き叫ぶのを背に、ただ立ち尽くす。

おそらくこの有様を掃除屋はどこかから見ているだろう。

――ふざけやがって…!

何が狙いかは知らないが、戦いに身を置くこともせず傍観に徹するつもりか!!

いつの間にか空に立ち込めた雷雲が、俺の気持ちを代弁するかのように低く唸った。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ