眠り姫は籠の中
□DesirE
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――いつだって、私の思いは人に通じることはなかった。
平和や友愛を口にしながら、争いも諍いも殺戮も奪いあいもやめようとはしない。
自己中心的にしか機能しない世界なら、根本から創り変えるしかないだろう。
「………………」
すべてを焼き尽くす炎を宿すと言われた剣を地に突き立て、負の感情を沸々と沸き上がらせる。
これを使えば、私の思いを踏みにじった奴らへ思い知らせることができる!!
…なのに。
できなかった。
「………、なんで」
思わず剣の切っ先を見ると、いつの間にか現れたらしい神の従者である存在――影が私の真向かいに回りこんで、剣に巻き付くようにして何かを懇願している。
止めてくれと言わんばかりに頭を振られて、怒りのあまり目の前が赤く染まる。
ほとんど同時に、私ごときではかなわない強大な力を持つその存在への恐怖心を必死でねじ伏せようと、威嚇の意味をこめて叫んだ。