BlacK
□溢れる心
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「…場違いじゃね?」
思わず漏れた声は歓声やら様々な音やらでかき消された。
よく分からないまま、
「自称・神」だとゆうガキにあれこれ注文をつけられながら作った音楽を手土産に、
あの日、渡されたチケットを頼りにきた場所。
にぎやかで明るくて。
何だか……
「場違いだな」
もう一度、自分に確認するように呟いた。
音もなく踵をかえ…そうとした瞬間、声がかかる。
「ちょいとそこのオニーサン。
どこに行くつもり?」
やや下側の背後から、かかる声に眉をひそめた。
「…一つ言っとく。
俺の背後に立つな、撃つぞ」
「んな事したってムダだって。
それに帰ろうとしてんのを逃がす訳にゃいかねぇからな」
奴は口元を緩めると、奥へのステージを指し示した。
「どうぞ、ミスター。
あんたの音を皆に聞かせてくれよ」
…まぁ、当初の目的を果たさなきゃここに来た意味はない。
さっさと切り上げて帰るとしよう。