BlacK
□はじめのいっぽ。
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ゆっくり、瞼を開いた。
「おはよーさん」
即、再び瞼を閉じる。
「おい、無視かよ。ユリちゃん〜」
「人の名前はまともに呼べ、神」
仕方なく目を開けて睨むと、奴は楽しそうに笑った。
「……ずっと、待っていたのか?」
「もちろん。でも、ここにいられない時は影に見張らせてた」
「馬鹿め」
「ひでぇな。我慢してたんだぜ、寝込みを」
「黙れ」
ケラケラと笑う神にため息をついた。
「――また会えて嬉しいぜ。ユーリ」
「…そうか」
ふいに真面目な口調に戻った神は、慈愛に満ちた顔で囁いた。
気分はとても複雑だ。