BlacK-2

□toi et moi
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静けさが音になって聞こえそうなほど、幸せに満ちた空間で二人きり。

お互いが向かい合う形で立ち、この空間だけが世界から切り離されているような感覚に陥りそうだ。
目の前には清楚な服に身を包んだユーリが気恥ずかしそうに立っている。

「綺麗だよ、ユーリ」
「…ありがとう」

いつもなら恥ずかしさを誤魔化して素直に返事をしないユーリが、嬉しそうに微笑んで頬を染めた。自然に同じ笑みを浮かべて、ユーリの左手を胸元へと引き寄せる。
真っ白な手袋を抜き取って、細長い指を手のひらに乗せた。

シンプルなデザインの指輪を取り出して、いよいよこの時がきた、ともう何ヶ月も前から繰り返したフレーズを胸の中で改めて繰り返す。




あの日、初めてユーリと会った瞬間に恋に落ちて。
一方的に想いをつのらせて、たとえ報われなくても、気持ちが伝わらなくても、ただひたすら想うだけで幸せで。
それが愛だと気付いてから、よりいっそうユーリを深く愛するようになって。

…でも、その愛情を取り返しのつかないことに捻じ曲げてしまって。
何度も何度も、目の前の大切な人を泣かせてきた。


それでもずっとそばにいてくれたことが心から嬉しくて、だから勇気を出して想いを告げたんだ。
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