BlacK-2
□One more time
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「ねーユーリ、機嫌直してよ;」
「知らん」
このやり取りがかれこれもう何分繰り返されたことか。
いい加減にやめて欲しいんだけどなー。
「あれ?どしたっスか、スマ。入らないんスか?」
リビングの入り口で立ち止まったままのぼくにアッシュが話しかけてくる。
中の二人に聞こえないように、声の大きさを抑えて苦笑いした。
「んー。中でいつもの痴話喧嘩中なんだよね」
「…あぁ、なるほど;でも確か……」
「そう!今日はギャンZのスペシャル番組放送日なんだよっ!録画予約はしたけどリアルタイムでチェックして呟きと動画サイトで皆と感動を共有したいんだよ!!」
「えーと、…そ、そうなんスね;」
おっといけない、ついつい興奮して叫ぶところだった。まーユーリ達には気付かれてないみたいだからいいけど。
それより問題なのはギャンZの方だ!
「ねーアッシュ、お願いがあるんだけど☆」
「嫌っス」
「ちょっとぉ;まだ何も言ってないよ」
「どーせ中に入って二人を仲直りさせろってところっスよね?」
「大当たりー!じゃ、そゆコトでー」
「へ?え、あ、わあぁああ!;」
何も身構えてなかったアッシュの背中を軽く両手で押しただけで、彼は面白いほどすんなりリビングの中に消えていった。