BlacK-2

□Happy color
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窓を大きく開け放って、柔らかな日差しに目を細めた。

「もうだいぶ暖かくなったなぁ」

部屋に入ってきた風すらも心地いい。
きっと外では色んな花が咲き誇っているだろう。

「おはよう」
「おはよう、ユーリ。早いね」

背後に立ったユーリをとっくに察知していたけれど、まだ少し眠たげな彼を驚かせないようにできるだけゆっくりと返事を返した。
ユーリは俺を見上げるみたいにして、何度か瞬きを繰り返す。

「外が暖かそうだから、かもしれない。いつもより目覚めがよかった」
「そう。それはよかった」

薄い遮光のカーテンを引いてから完全にユーリへと体を向けた。

「ご飯にしよっか?」
「………」
「ユーリ?」
「外に出たい」
「え。…えっと」
「できるのだろう?」
「うん。や、でも」
「私のことなら気にするな。この程度の日光ならば問題ない」

夢かと思った。思ったから、こっそり自分の腿をつねってみた。

痛い。夢じゃ、ない。

ユーリが自分から何かをねだるなんて初めてだ。しかもこれっていわゆるデートのお誘いだと思っていいんだろうか。
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