BlacK-2
□a gold goose
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そもそもの発端は、俺の勝手な一人よがりの欲だった。
ユーリに笑って欲しくて、そしてその笑顔をできれば俺に向けて欲しかった。
本当にそれだけの、ささやかな願い。
ありふれているはずの幸せを切望して、でもそれは単純には叶えられない。
俺がユーリのためにできることなんてあるんだろうか。彼が心から嬉しいと感じて生まれる、そんな笑顔を見られたら。
初めての出会いの後、すぐにあんな光景を見せつけた俺が望むのはおこがましいのかもしれない。
それでも願わずにはいられなかった。
神として、そして何よりMZDとして、ユーリにはあたたかい気持ちでいて欲しいと。
――その為に今、せめて俺にできることを。
手の中で眠る世界を抱き締めて、輝きを放ちだす星達を見送った。
<音が生まれ、音波が生まれた。彼はさらなる音を求める>