シリーズ小説

□【Tea houseシリーズ】
9ページ/13ページ

からだを重ねて抱き合うよりももっと、深い喜びがあることを知ったのは、ここ最近だ。

誰だって、甘えたり、愚痴を言ったり、悩みを打ち明けたりすることが出来る『逃げ場所』を、持つことが大事だと思う。
ハリーはドラコの、ドラコはハリーの、そういう『場所』に、いつの間にかなっていたことが嬉しい。

大人になると、もっと立派な人間に自然になれるとずっと思っていた。

実際に成長して、年齢が大人と呼ばれるそれになっても、心はずっとフラフラしたままだ。
『うまくこなせない自分』を誰もが心に持っている。

努力したって、出来ないことはたくさんあった。
努力が足らないわけではなくて、精一杯しても、それでも出来ないこともある。

……でも、それが悪いってことじゃない。
すべてが完璧に出来たら、世の中なんて簡単でつまらないじゃないか。


自分の出来ないことを相手に手助けしてもらう。
補ってもらう。
そして自分の出来ることを、手助けする。

そういう『ギブ アンド テイク』が、ものすごく大切なんじゃないかなと、近頃は思っていた。



大切なものはいつも、ありきたりの日常の中にあった。


上々の天気に、となりにはドラコがいる。
これ以上、嬉しい休日などなかった。


ハリーは笑って、軽く相手のほほにキスをすると、ハンドルを握りなおして尋ねた。
「―――さあ、今日は、これからどこへ行く、ドラコ?」


         ■End■
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ