短編小説

□*Angel face *
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*10年後*

 「いっしょに暮らせるはずがないじゃないか!まったく!」
 
そう言いながら、ドラコはドスンとソファーに腰掛けます。

不機嫌にそっぽ向いて、腕組みする始末です。
 
軽く前髪が降りた横顔は青年のそれで、昔のあどけないかわいい表情はどこにもありません。 


ハリーは分かっています。

ドラコは真剣に自分たちの未来のことを考えているから、怒っているのだと。

いい加減で楽天的なハリーは何度も、この彼の真面目さに救われました。 

とても感謝しています。

愛おしいのです。 


ハリーはどうしても今夜言いたいことがありました。

どんなに否定されても何度でも言い続けるつもりです。

そうしてとても渡したいものが、ジャケットのポケットの中にありました。 


相手の手をとり、真剣な声でハリーは言いました。 

「聞いて欲しいことがあるんだ、ドラコ」 

眉間にシワを寄せて相手を見上げるドラコの瞳には、いろんな感情が渦巻いているようです。

そのもつれた糸は深く絡まり、それを解くのは難しそうです。

しかし時間は十分にあります。

大丈夫です。

明日は休日で仕事はなく、ふたりきりの夜はこれからです。

長い夜になりそうです。
 

……きっと翌朝、目が覚めると隣には安らかな顔で眠っている彼がいると思います。

朝日の中、まだ瞳を閉じてぐっすりと眠っているドラコを愛おしそうに見詰めて、きっとハリーとこうつぶやくと思います。 


「天使みたいだ」と。 


■END■


*あとがき*
絵本を思い浮かべて書いたので、語尾をやさしく語りかけるような口調にしました。


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