シリーズ小説
□【Marriageシリーズ】
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ハリーはとろけるような笑顔を見せてドラコにキスをし、優しく腕の中へと抱きしめた。
暖かくて、気持ちのいい空気が重なる。
見上げると、ハリーは満面の笑顔で、その満足げで晴れ晴れとした表情を見て、(これはこれでいいか)と思った。
まったく予定外で思いもしなかったけれど、訳が分からないまま自分から告白してしまった。
そしてハリーからたくさんの愛の言葉をもらった。
もうそれだけでいいと思う。
別にかっこよさを求めたわけじゃなかったからだ。
生活の延長の上に、ついでのようにプロポーズがあったっていいじゃないか。
どんな場面でも、ふたりでいるのが一番なことは分かっていた。
幸福がどこにあるか、もうとっくに自分は知っている。
「お祝いはケーキで」
浮かれた声でハリーが言った。
「………だからって、あのケーキの色はないだろ」
ドラコは不満げに鼻に皺を寄せる。
「何言ってるんだよ。水色はむかしから幸福の象徴だよ。つまりマリッジ・ブルーだよ」
ドラコは呆れたように相手を見上げた。
「……ハリー……。ブルーはブルーでも、いくらマリッジが付いていても、その意味はまったく違っているぞ」
ハリーは驚いた顔をして尋ねてくる。
「―――ええっ、そうなの?じゃあ、本当はどういう意味?」
「つまりだな………。つまり、なんていうのか……。マリッジ・ブルーっていうのは―――……、今の僕の気持ちって感じかな」
ドラコは困ったような笑みを浮かべつつ、肩をすくめてそう答えたのだった。
■END■