シリーズ小説
□【Truffleシリーズ】
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その声の柔らかさに顔を上げると、美しい水色の瞳がじっと自分を見詰めているのが分かった。
「ありがとう、ハリー。君はなんて気が利いているんだ」
そう言って相手の首に両手を巻きつけると、体を摺り寄せてくる。
急に抱きついてきた相手を受け止めながら、ハリーは意味が分からないという表情で瞬きをした。
「―――えっ、どういう意味?」
ドラコはそのままスルリと身を滑らし相手の膝の上に腰を下ろすと、横向きのまま抱きつく。
「僕はトリュフは大好きだし、それが君と恋人になったきっかけだから尚更好きだ。そしてもちろん遅れて届く君からの指輪も嬉しい」
愛おしそうに目を細め、相手の髪を撫でた。
「今年は素敵なプレゼントが二度も届くなんて、クリスマスが二度もやってくるようなものだ。ああ……、とても嬉しいよ。ありがとう、ハリー」
ふたりのあいだに暖かなやさしい空気が満ちてくる。
見上げた彼らの頭上にはヤドリギが吊り下げられていた。
ドラコは目を細めると微笑み、その木の下で自分からキスをする。
柔らかなそれが重なると一瞬ハリーは目を見開いたけれど、すぐに幸せな笑みが浮かんできた。
唇を離しふたりは見詰めあい微笑み合うと、ふたたび何度も唇を重ねる。
彼らの背中越しに、くつしたが吊り下げられた暖炉からパチリと木のはぜる音が上がった。
クリスマスにヤドリギの下でのキス。
それはいつでも永遠を誓う恋人同士のものだった。
――Merry Christmas――
■END■
*あとがき*
イブのふたりのお話でした。ちなみにクリスマスの季節に恋人同士がヤドリギの下でキスをすると、結婚の約束を交わしたことを意味します。
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