シリーズ小説

□【Truffleシリーズ】
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メインデッシュが終わりその皿が下げると、覚悟を決めたようにハリーは椅子から立ち上がった。

キッチンからリボンのかかったこげ茶色の小箱を持ってくると、相手に差し出す。


「君へのクリスマスプレゼントなんだ」

「ありがとう。―――ここで開けてもいいかな?」

「ああ、いいけど……」

言葉を濁す相手にドラコは気付かず、楽しげにリボンをほどいていく。

ふたを開けると、ドラコから感嘆の声が漏れた。


「すごい!きれいにココアでコーティングされたチョコレートじゃないか。しかもたくさんある。とても美味しそうだ。ありがとう、ハリー」

ニッコリとドラコはご機嫌に笑う。

ハリーは肩を落としたまま、全く逆の言葉で答えた。

「僕は君にすまないと思っている」

予想外の相手の言葉にドラコは戸惑った顔を見せる。

「―――どうしたんだ、ハリー?」

ハリーは首を振った。


「本当はこんなはずじゃなかったんだ。せっかく君と過ごすはじめてのクリスマスだったのに。素敵で完璧なクリスマスに僕はしたかった。一生に一回しかないのに僕はそれを失敗したんだ……」

「―――失敗したって?」

ドラコが驚いた顔で尋ねてくる。


「ああ、本当なら今日、君にチョコレートといっしょに指輪も贈るはずだった。君の瞳とよく似ている水色の石が入った素敵なものを、このチョコレートの真ん中にあるカップに入れて君にプレゼントする予定だったのに、―――その指輪が間に合わなかったんだ」

この世の終わりだという表情で肩を落とし、ひどく落ち込んでいた。


「間に合わなかったのか?」

「そうなんだ。指輪をオーダーメードにしたんだけど、クリスマスシーズンは混んでいて間に合わないと昨日連絡が入ったんだよ」

「それはいつ届くんだ?」

「精一杯急がしてもあと三日はかかる。………ああ、もし出来上がったとしても遅い。もうクリスマスには間に合わない。せっかくのとっておきのクリスマスプレゼントが―――」

ハリーはさえない顔のまま俯いた。


ドラコはそんな落ち込んでいる相手をじっと見詰めると、おもむろに立ち上がりテーブルを回り込みハリーの側に立った。

そうして上体を前に傾けて、「ハリー」とやさしく名を呼んだ。


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