シリーズ小説
□【Truffleシリーズ】
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【素敵なプレゼント】
クリスマスイブだというのにハリーは浮かない気分だった。
リースやガーランド、キャンドルや小物が飾られた暖炉には、炎が暖かく燃えている。
赤と緑でコーディネートされた部屋は居心地がよかった。
ガラスのオーナメントが吊り下げられたクリスマスツリーは、その光を受けてキラキラと輝いている。
冷たい窓の外には雪がチラチラと舞い降りて、きっと明日はホワイトクリスマスになるだろう。
―――そして自分の目の前にはドラコがいた。
リラックスした表情でハリーが作った料理を堪能している。
ワインを飲み、相手の腕前を褒め、流れてくるクリスマスキャロルに耳を傾けていた。
彼らが付き合い始めて、もう半年は経ったはずだ。
今では毎週末の約束をしなくても、ドラコがハリーのフラットへ泊まりにくる間柄だった。
「時々君の料理をごちそうになるけれど、こんなに美味しい本格的な料理まで、フルコースで作れるなんて、君は本当にすごいな」
ドラコは感嘆の声を上げて首を振る。
「……いや、それほどでもないけど」
ハリーは口の端を上に向けて、小さく笑った。
実を言うと本当はかなり手間隙をかけた力作だった。
ドラコをイブの日に招待と決めた日からメニューを考え始め、ハリーは仕込みにとても手間暇をかけていた。
本当ならどれだけ頑張ったか、相手に面白おかしく話すはずたったのに、今のハリーはそんな気分ではなかった。
またため息が漏れそうになり、慌てて口元を引き締める。
目の前のドラコは蝋燭の明かりの中、とても魅力的に映っていた。
シルクのような金髪も、白い肌も、薄くて形のいい唇も、優雅な身のこなしも申し分ない。
イブの夜に彼は完璧だった。
本当だったら、その美しい相手と心ゆくまで楽しい会話をするはずだったのに。
ハリーは自分の不甲斐なさに激しく落ち込んでいた。
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