短編小説

□*Hope*
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ハリーはドラコの手を取ると、やしの木の下にいざなう。

そこには、どこから持ってきたのか、大きくて座り心地がよさそうな、赤色のソファーが置かれてあった。


「僕はこのまま砂浜の上で寝っ転がるのもいいかなと思ったんだけど。相手が君だしね」

「いい心がけだ」

ドラコは当然だとばかり、ニヤッと笑う。


「僕は君と違って、育ちがいいからな」

「ホント、君はどこまでも、貴族だよ」

ハリーは肩をすくめた。


抱きしめられて、そこに押し倒される。

「こらっ!」

照れ隠しなのか、ドラコは一応抵抗する素振りだけはする。

もちろんその握った拳には力はない。

相手のシャツのボタンを外しながら、ハリーは言った。

「ここには君と僕しかいないから、ずっと朝まで裸でいるっていうのは、どうかな?」

「案外潮風は冷たいぞ。風邪引いたらどうするんだ」

「君の熱が下がらないように、努力するから」

「そんな努力はいらないっ!」

きっぱりと宣言する。


いろんなことを考えなければならないドラコはため息をつく。


「……僕はただ静かに、眠りたいだけだ……」


ハリーはやさしくドラコのこめかみにキスを繰り返しながらささやいた。

「いいよ。疲れたら、いつでも眠ってもいいよ。―――安心して、朝にはちゃんと君を部屋まで届けるから。だから、今夜はこのままずっと、いっしょにいよう」




ドラコはいつ自分が眠ったのか分からなかった。

波音が心地よかった。

見上げると星が落ちてきそうで、隣には笑っているハリーがいた。



……思い出すと切なくて、今でも苦しくなる……



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