シリーズ小説

□【Noelシリーズ】
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【Grooming】


「いい加減にして欲しいんだけど、ドラコ」

ハリーはバスルームから戻ってくると、子猫をドラコの鼻先へと突きつけた。


先にシャワーを浴びていたドラコはリビングのソファーに座りつつ、大きな一抱えはありそうなカップからバニラアイスをすくって食べている最中だった。

「いったい何がだ、ハリー?」

「コレだよ、この猫だよ。いったい全体、どうして毎回僕がバスルームに入るとこの猫も勝手に入ってくるんだよ」

「それは君がノエルに好かれているっていう証拠だ。よかったな、ハリー」

ドラコはスプーンを舐めつつ、彼らを見上げてニッコリと笑う。



「この猫は君の猫だろ。ちゃんと自分で面倒をみろよ、まったく」

ドラコの前に首根っこを捕まえた子猫を差し出すと、猫は身もがいてハリーの手から逃れた。

ニャーンという甘い声を出しながら、ドラコの足にその身を擦り付ける。


ドラコはカップを脇にどけると、子猫を抱き上げて背中をさすった。

「ああ……、フローラルないい香りがする」
うっとりとその洗いあがったばかりのフワフワの真っ白い毛並みに鼻先を埋める。


「僕は仕事がやっと終わって帰宅したあとは、ひとりでゆったりとバスルームで過ごしたいんだ。それなのにノエルときたら、勝手にやってきて僕が浸かっている風呂に飛び込むなんて、どうかしているよ。普通、猫は水嫌いじゃないのか?クレイジーだ」

「ノエルはきれい好きなんだよ」
ふふふとドラコは笑った。


「入ったら入ったでしょうがないから、シャンプーしなきゃならないし、タオルドライして、ブラッシングして、とても手間がかかるんだからね。そんなことは飼い主がすることだ」

「ああ、本当にすまないと思っているよ」

ドラコは猫を撫でながら、口先ばかりの謝りの言葉を口にする。



「僕が洗おうにもノエルは逃げようとするし、ブラッシングしようとしたら痛いらしくて、逆に毛を逆立てて威嚇してくるんだよ」

仕方ないという表情で肩をすくめた。

「ドラコは雑なんだよ。それにとても不器用だし」

ハリーはプリプリと怒っている。

「何度も君の手を煩わせて、すまない」

ドラコはハリーの手を持ち上げて握りこみ、じっとハリーの瞳を見詰めた。



「―――ハリー……、君の指の動きの繊細さは僕が一番知っているよ」

指にキスをして、自分の首へと持っていく。

ハリーがあごの下をくすぐるように撫でると、ドラコは気持ちよさそうに喉を鳴らした。


「僕は白い猫をグルーミングしたあとは、ベッドで銀色の猫もグルーミングしなきゃならないのかい?」

半分呆れたようにハリーはため息をつく。



「大丈夫だ、ハリー。僕は手先が不器用だとしても、舐めるのは得意だ」

そう言ってニヤニヤと笑ったのだった。


■END■
■ 2007/12/27 up ■


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*ええっと……


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