シリーズ小説
□【Noelシリーズ】
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【Noel】
クリスマスイブの夜はいささかハメを外してしまったようだった。
いつもなら必ず顔を出すウイズリー家が大集合する隠れ穴での騒々しいパーティーに今年も招待されていたけれど、ハリーは参加しなかった。
ドラコも例年どおりマルフォイ一族が集うおごそかで豪華なパーティをキャンセルした。
クリスマスは家族で祝うものだ。
だからいっしょに暮らし始めて初めて迎えたイブの夜を、ふたりは親密に楽しく盛大に過ごした。
しかしそれはかなり『親密』すぎたかもしれない。
気が付けばクリスマスの朝になり、日が差し込み部屋は明るかった。
パチパチと木のはぜる音が暖炉から聞こえてきて、一晩中燃え続けていた炎で部屋は少し汗ばむほど暖かい。
瞳を開き見上げると緑色のどっしりとした枝が見えた。
魔法で作られた溶けない雪と共に、色鮮やかなクリスマスボールがモミの木に吊り下げられている。
その天辺に飾られている星はピカピカと輝いて素晴らしい光を放っていた。
テーブルには食べかけのケーキやシャンパン、ワインなどが乗っている。
床にはクラッカーの紙テープと金箔が広がっていた。
椅子が意味もなく倒れていて、暖炉に吊り下げられた靴下は下に落ち、つえの形をしたカラフルで大きなキャンディケインはなぜか天上のシャンデリアに引っかかっていた。
……かなり楽しいパーティだったらしい。
二日酔いで頭が痛くなるほどに。
まるで自分たちがクリスマスプレゼントのように、大きなツリーの下のリボンがかけられたラッピングの山を押しのけて、空いたスペースに、二人して丸まって眠っていた。
ハリーはサンタの赤いズボンを腰までズリ下げたまま、上半身は裸だし、ドラコにいたっては全裸に金のモフモフとしたモールを巻いているだけだ。
しかもご丁寧に首には赤と緑のリボンが絡み付いている。
二人してノリで、『サンタプレイ』を楽しんだらしかった。
あまりはっきりとした記憶はなかったのだけれど……。
ズキズキとする二日酔いの容赦ない頭痛に呻いていると、ドラコの上に覆いかぶさるようにして眠っていたハリーも目が醒めたらしい。
相手が眉を寄せているのに気付くと、「頭が痛いの?」と掠れた声で尋ねた。
ドラコが頷くのを見て、ハリーはそのほほを撫でるとゆっくりと立ち上がり、半分尻が見えそうなほどずり下がったズボンを引き上げながら、キッチンへ向う。
冷蔵庫のドアの開け閉めする音がして、すぐに大きめのマグカップを手に戻ってきた。
なみなみと入ったミルクを差し出す。
蒸し暑い部屋で喉が渇いていたドラコはそれを受け取り、すぐに飲み干した。
空いたコップを手にハリーはまたキッチンに戻ると、再びカップにミルクを満たして戻ってくる。
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