シリーズ小説

□【世にも奇妙な物語シリーズ】
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そしてCMが終わり画面が切り替わり、夜のニュース番組になった途端、ドラコは悲鳴のような声を上げた。
 
「信じられない!!あれで本当に終わりだったなんて!!―――まさか?立ち尽くして終わりだなんて、全くオチがないじゃないか!なんで主人公が打ちのめされるんだ!あの倒れた自転車の意味は?だったらあの傲慢な主人公の更生の意味は?心を入れ替えたんじゃなかったのか?!」
 
教えてくれよ、ハリー!とばかりに、隣のハリーに食ってかかる。

首根っこを持って、相手を激しく揺さぶった。 
 

「ちょっ、ちょっと待ってよ、ドラコ。落ち着いて」 
ハリーは相手の肩に手を置き、慌ててなだめ始める。
 
「ああっと……、その……ビールいる?」
 
「いる!」

プルトップを開けるとブシュッという軽快な音と共に、こんもりとあわ立ったものを相手に差し出した。
 
それを受け取り、ドラコはまた一気にゴクゴクと飲む。

とても喉が渇いていたのか、それともこのイラつきをどうにかしたかったのか、分からないけれど、きっとそのどっちもだろうと結論付けて、また文句が出る前に新しい缶ビールをドラコの前に置く。 
 
そう炭酸ばかりでは腹にくるらしく、今度は大人しくそれを持ったまま、ハリー相手にくだを巻いて寄りかかってきた。
 
「でもさ、あのオチはいただけないよ。ひどいよ。最初から謎だらけで、最後まで謎のまま終わるなんて……。ものすごく、ヒドイぞ。胸のさぁ、ここらあたりがモヤモヤする。納得がいかないっていうか、騙されたっていうか、なんだそりゃ?!っていうか……。あー、なんだかヒドイいドラマだった……」
 
うーっと言いながら、ドラコは首を振る。
 
 
「ひどいかもしれないけど、それが普通なんだよ、あの番組は。ちゃんとしたオチとかつけないし、なんだか分からない結末だったり、勝手に尻切れトンボのように終わらせたりするんだ。今のドラコみたいにさ、見ているこっちが納得がいかない終わり方をいつもするんだよ」
 
「なんでそんなバカなことをすんだ?」
 
「んー……、なんでかなぁ。きれいにスッパリと終わらせたり、ちゃんとオチとか付けたりしたら、そこで終わりになっちゃうから、そのせいかもしれないけど……」
 
「ちゃんと納得がいくオチをつけたほうが断然いいのに、なんで!?」
 
「ほらきっと今の時間、ドラコみたいにドラマの結末が気に入らないって喚いている人は、きっとテレビの向こうにたくさんいると思うよ。コレが狙いなんだよ、多分。きれいに終わらせたら「ああ、面白かった」で終わるドラマを、こんな納得がいかないオチにしたせいで、見ていた人は「なんで?」と思って、ずっと頭をひねってそのことばかりを考えてしまうから、あえてそうしたんじゃないのかなぁ」
 
ふーん……と答えたものの、まだドラコは納得がいかない顔をしている。 
 

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