短編小説
□*Over the Rainbow*
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「だから言ったんだよ。本を読むときは明るい場所で読むように注意したじゃないか。君はミステリーに夢中になると、部屋の中が真っ暗になってもそのまんまんだ。月明かりでもそのまま読み続けていることも度々じゃないか。しかも読むときはソファーに寝そべって読んでいて、姿勢が悪いし。テレビを見るときだって、明かりを消したまま見ているし」
「本が面白くて明かりを忘れるなんて普通だろ?」
「普通じゃないよ、暗くなると文字が読みにくくて目が悪くなるじゃないか」
「テレビを暗くして見るのはシアターみたいで、そっちのほうが雰囲気が出ていいし」
「あれは目に悪いの!テレビ画面は肉眼じゃ見えないけどチラチラ点滅していて、暗くするとそれが目に悪い刺激になるんだよ。―――分かってないね、ドラコは」
ハリーの意見はもっともだったけれど、ここまで言われるとドラコだって気分が悪い。
「なんだよ。君なんか、出会ったときから眼鏡をかけているじゃないか。それを自分だけが責められるなんて……」
「僕のは遺伝だよ。父親も目が悪くて、僕も近眼になったんだよ。でも、ドラコは違うだろ?」
「そりゃあ、ちがうけどさ……」
ムッとした顔で口をつむぐ。
「君は自分の不摂生でそうなったんだよ、分かっているの?」
ガミガミと注意されて、ドラコの機嫌は段々と悪くなってくる。
むかし程ではないにしろ彼だって、とうてい穏やかとは言いがたい性格だったからだ。
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