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□1.*SilverCat*【ドラコ×ロン】
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「魔法薬学」の授業の前、早めにロンは教室に入った。


ハリーは放課後にあるクィディッチの練習方法の打ち合わせがあるので遅れるらしく、「先に行ってて」と言った。

ハーマイオニーは何か大切な参考書を忘れたとかで、いったん寮に戻っている。

ロンはつまらなそうに、教室の端のほうに腰をかけてぼんやりと外を見ていた。


(今日は意地悪なスネイプの質問が自分に当たりませんように)とか、下らないことを考えていたので、隣に誰かが来たことを気づかなかった。


「ウィーズリー、何してるんだここで?一人なのか?」

馴れ馴れしく後ろから肩に、腕を回してくるやつがいる。

うるさそうに振り向きもせずに、ロンはその腕を振り払った。

自分にこんなことをする人物はこの学園でただ一人だ。


「触るな、マルフォイ!」

ぴしゃりとその手を叩くのをおもしろそうに、ニヤニヤ笑って見ている。


さも当然のように長いふたり用の長机にマナー悪く堂々と腰掛けて、椅子にいるロンと向かい合うように座った。

「おやおや、ご機嫌ななめだね、ロニー」

キザったらしく肩をすくめる。

ハラリと撫で付けていた前髪が額に落ちて、それを振り払った。

そのポーズですら嫌味なくらい決まるのが彼、―――ドラコ・マルフォイだった。


身長は学年で一番長身であるロンにはかなわないが、その他はすべてドラコのほうが秀でているといっても過言ではない。

彼はこの学園内でかなり跳びぬけて目立つ存在だった。


色素の薄いプラチナブロンドを軽く撫で付け、スリザリンの緑のタイをボタンを外したシャツにだらしなく結んでいる。

授業は出たり出なかったしてサボタージュを繰り返しているのに、成績はいつもトップクラスだ。

人を見下すように見る薄灰色の瞳に、毒舌しか吐かない薄い唇。

いつも人を自分の下にしか見ない高慢な態度で、他人の言うことには一切耳を貸さない。

長い足で肩で風をきって悠然と歩いている。

家柄も古く、父親は高官エリートだ。

俗に言う「敵なし」の存在だった。


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