お見通し(優姫ver)
あなたはきっと気付いてる。
私がどんなに隠そうとしても
それは無駄な抵抗にすぎない。
「何を怒ってるの、優姫。」
お義父さんと話が終わるや否や、枢様はソファで座ってた私の方へと振り向いて困った顔を見せた。
いつから気付いてたの?枢様には目がいくつあるの?
さっきまでずっと理事長と話してる時、私の顔なんて一度も見てなかったのに。
「何も怒ってません…。」
「嘘。ほら、眉間にしわよってるよ。」
枢様の長い人差し指でおでこをこつかれる。
そしていつものように枢様はそのキレイなお顔をそっと近づけて、じっと私を見てくるの。
それがすっごく恥かしくて、なんだか目の居場所を失って、私は顔を逸らした。
枢様はどうせ気付いてるんでしょ?
私が不機嫌な原因に。
「僕が優姫に何かしてしまったんだね…?」
何故怒っているのか私に言わせたいのだろうけど
そんなことで怒ってるのかなんて思われでもしたら嫌なの。
「だから何も怒ってませんっ!!」
どうしてすぐムキになっちゃうのかな。
貴方に嫌われたくは無いのに。
枢様の前にいるのが心苦しくなって、気付けば私は自分の部屋へと篭っていた。
――言ってしまっては私の負けになると思ったから。