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□『一緒な変化と』
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「お待たせ!」
「いや、そんな待ってねぇし」
小学校を卒業して"登校班"がなくなった。
だからもう一緒に帰る義理はないんだけど………
もう5年。
高2になった今でも一緒に帰っている。
「別に待ってなくてもいいんだよ?部活で遅くなる日もあるんだし……」
「遅い日は帰り危ねぇだろ」
「そうだけど………」
「大事な幼なじみに何かあっても困るしな。お前の母さんに怒られる。」
過去の記憶を遡れば、どの記憶にも隣にいて。
普通、男女の幼なじみだと年齢を重ねるうちに自然と離れそうなものだけど―――……
私達は違うみたいで。
「もー!大事、とか簡単に言わないの!!女の子は勘違いしやすい生き物なんですっ」
「お前も?」
「昔からずっとそうだったしね。今更勘違いとかはしないかな〜」
「へー。」
聞いといてそれかい。
まぁ、そんな反応も昔から。
今更気にするほどの事でもないけど。
「他の女の子には軽々しく言わない事だね!好きな子とかならいいけど、そうじゃない場合は後々面倒な事になりかねないし」
「おぅ。わーってるって」
「適当な返事だな!私は真剣に心配してんのっ」
「大丈夫だって。お前にしかしてねぇし。」
「いや、私じゃなくて………だから2人は付き合ってるんですか?とか聞かれるんだよ」
「幼なじみだな。」
わかってるっつの。
でもなんだかそんなにきっぱり言われると複雑なんですけど。少しね、少し!
いや、幼なじみに違いないけどね!!
「好きな子くらい作ったら?幼なじみと毎日帰ってると、貴重な高校生活が終わっちゃうよ!」
「それはお前もな。毎日俺と帰ってる場合じゃねぇんじゃねぇの?」
「………ほっといて下さい。」
図星ですけど、何か?
そんなとこまで一緒、なのはそろそろ卒業すべきなのかもしれない。
「つか、俺、好きな奴いるし」
「え!?嘘っ」
いきなり一緒を卒業!?
マジですかっ!
てゆーか、聞いてない!
聞いてないよ!?
「嘘ついてどーすんだよ」
「え、だって、え?てゆーかほら、好きな子いるなら私と帰ってる場合じゃないじゃん!」
「なんで?」
「なんでって………私はいいとして、その好きな子に私を好きだと勘違いされたらしたら困るでしょ?」
「?つーか、俺が好きなのはお前なんだけど。」
「……………………え?」
過去の記憶を遡れば、どの記憶にも隣にいて。
普通、男女の幼なじみだと年齢を重ねるうちに自然と離れそうなものだけど―――……
私達の場合、これから先の長い時間も一緒に歩んでいくのかもしれない。
そんな未来も、悪くない。
*END*