*オリジナルSS*【下に追加されます】

□『tiredness』
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寝不足のせいかな?
仕事も残業ばかりで、疲れがたまってる?
ソファにもたれかかり、興味のないテレビをただ眺めていた。

今日も残業、多分、明日も。
隣に座っている彼の肩に頭を乗せたくなったけど、なんとなくやめた。



元々人付き合いが得意な方ではなかったけど、それなりに上手くはやれていた。

生きている、という事自体に興味はなかったけれど
一度も死にたい、とは思わなかった。



「なんか、疲れちゃったな」
もう、なんだか全てがどうでもいい気がして。

全てを終わらせたい衝動にかられた。


これが死にたいって事なのかな?
自殺願望?

「誰か、殺してくれないかな。」
自分で言ったクセに、思わず吹き出してしまった。

あぁ、なんて他力本願なのだろう。


「何で?」

「さぁ?」

「死にたいの?」

「わかんない。」
これは、本心である。

本当にわからないのだ。
自分が死にたいのかどうか。


全てを投げ出せたらどんなにいいだろう。
全て壊れてしまえばいいのに…
でも壊す事は億劫だ。


誰か私を壊してくれない?
誰でもいいの。
でも叶うならあなたのその手で。



「じゃあ、俺が殺してあげる」

「本当に?」
隣に座っていた彼を見上げた。無意識のうちに声に出ていたのだろうか?



「本当。」

「いつ?」
会話だけだと物騒な話だな、と思った。

実際は、何だかとても温かい空気が流れていて。

そう、まるでご飯の献立を考えているような
そんな感じである。


「そうだな、いつか。」

「いつか?あはは、なにそれ」

「さぁ?でも、俺が殺してあげる。」

「いつか?」

「いつか。だから…」

そこで彼は一度息を吸い、私の耳元で優しく言った。


『その日まで勝手な事したら、だめだよ』




いつか、はいつか。
明日かもしれないし、10年後かも。


いつかその日が来る日まで
あなたの隣で同じ時間を過ごせるとしたら、きっとそれ以上の幸福はないのかもしれない。





「なんか、疲れちゃった」

そう言ってから、今度はためらいなく彼の肩にもたれかかった。

*END*

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