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□『夏と冬の間』
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最近急に冷えてきた。
夏も終わったな、なんて考えながら友人と下校する。

あー、手袋持ってくればよかった。いや、まだ季節的には早いけど。





「俺、夏と冬の間の季節好き」

コイツは突然何を言い出すのやら。
「それ、秋って言わねー?」
俺のツッコミはまともだと思うぞ。


「秋じゃねんだよ、夏と冬の間だって」

「だから、それが秋じゃん」


友人の言葉の意味をイマイチ理解出来ない。
夏と冬の間の季節………
やっぱ、秋じゃん。


「秋はさ、秋だろ?」


?はい??
本当にわけわからん。

怪訝な顔をしているであろう俺を見て、困ったような、でも少し淋しそうな顔をする。


いやいやいや。
え、俺が悪いの?


「急に冷えたよな」

しかも話流しやがった。
自分から出した話題のクセに。

ま、いいか。なんて思ってる俺に
「ほら」
と片手を差し出してくる。


「?何だよ。」

まじでさっきから意味わからんぞ。
さらに怪訝な顔をした俺を見て、今度は少し楽しそうだ。


「手、寒いだろ?」





「あー…………、おぅ。」
そういう意味かよ。


夏と冬の間。
秋だけど"秋"が好きなんじゃなくて。



「…………夏と冬の間、確かにいいかもな。」


周りを確認してから、少しためらい気味に手をとった。






しばらくはまだ、友人だけど。

*END*

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