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□『僕とリズ』
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…―モウイチド キドウ シマスカ?―…

僕の家はとても大きくて、僕のお父さんはロボットの研究ってのをしてるんだ。
だから、僕はこの大きな家でずっと待ってるんだ。
少し寂しいけど、でも僕は男の子だから、泣いたりなんかしないんだ!


「さぁ坊ちゃま、もうオヤスミの時間です」
「僕が寝るまで、いてくれる?」
「はい。もちろんでございます」

リズは僕の世話係だ。僕はリズの事が大好きなんだ!
「手、握っててくれる?」
優しく微笑むリズは僕の手を握って、小さく子守歌を歌ってくれるんだ。
リズの手はとっても冷たいけど、僕はその冷たさも大好きなんだ。


その日、まだ外が明るい時間にお父さんが帰ってきていた。
「お父さんっ」
僕は嬉しくて、お父さんにかけよろうとしたんだけど、お父さんは研究所の人と難しそうな話をしていた。
「………完成度……高い」
「改良点………温度………感じられない」
「水に………弱………」
「涙が出ない………最終目的……」

"もしかして…"
リズはある日突然やってきた。「そばにいます」って言ってくれた。
きっとお父さんからのプレゼントなんだ!
なんだか僕は嬉しくなった。


ある日、雨が降った。
"雨の日は家の中で大人しくする"僕とお父さんとの約束だ。
約束は守るものだけど、今日だけは別!だって、僕見ちゃったんだ。リズが外に出てくのを!

「水に弱いんでしょう?水に濡れたら壊れちゃうんでしょ?」
長い階段を2段飛ばしで、僕は玄関に走って行った。
僕の背の2倍もある大きなドアを開けて僕は叫ぶ。
「リズ!」

「坊ちゃま!?ダメです、今日は雨が…!」
「だからだよっ!僕、もっともっとリズと一緒にいたいんだ!」
雨の中リズのところへ駆け寄った僕に、リズは自分の傘をさしてくれた。
「ダメだよ、リズ!そんな事しちゃ、リズが壊れちゃう」
「私はかまいません、だって私は…」
「リズ、泣いてるの?」
"ロボットは泣けないんじゃなかったの?"

雨が僕の頬を伝って足元に落ちる。髪を伝ってきたのだろうか

「リ…ズ…」
リズは涙を流しながら、冷たい手で僕の頬に優しく触れた。
「私は、ずっとそばにいます。だから、もう泣かないで…」

雨の雫を、僕の涙だというリズの手は、僕の心を温かくした。

ジ――――――――………


「坊ちゃま…」
優しく僕を抱き締めるリズは、やっぱり冷たくかった。

そして少しずつ、僕の何かが壊れていった………

ロボットだったのは、どっちなの?


…―モウイチド キドウ シマスカ?―…

「はい」

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