その名に科せられた罪

□空笑い
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屋上から空を見上げる。

私の一日の日課。

別に空が好きなわけじゃない。

嫌いでもないのよ?

ただ、なんとなく・・・


空は誰にも犯されること無く

其処に在る。


その事実が、羨ましかった。

地に目をやれば同じような顔の人間が、同じように下を向いて歩く。

私も多分、あの人たちと変わらない。


なんだか・・・悔しい。


それでも同じように生きていかなきゃならないんだ。

普通の方が世間は欲する。

「そろそろ戻らなきゃ・・・」

時計を見るともうすぐ昼休みは終わる。

私は仕事場に戻った。




「小宮さん、ちょっと・・・」

「はい」

普通は机の前に呼び出されるはずなのに、今回は給湯室へ呼び出された。

上司の面持ちも心なしかいつもより堅い。

何か重大なミスでもしてしまっただろうか?



「あのね・・・小宮さん」



「はい」



「あの・・・・君、こないだの宴会来なかったよね」




「はい」



「それで・・・付き合い悪いんじゃないかって声があって」



「・・・・すいません」



「いや、別にいいんだけど・・・・絵梨ちゃんとかが話しかけても、シカトされるって言ってて・・・・」



「・・・・・・そうですか」



「もうちょっと回りの人と仲良くできないかな?」



「・・・・・・・はい、努力します」



「うん、仲良くしてね。絵梨ちゃんすごくへこんでたみたいだから」



「・・・・・・・・・・・・・はい」




そして上司は行ってしまった。

わざわざ仲良くしなきゃ、と思って作る人脈なんていらないんじゃないかと思う。

でも、私が人を傷つけているのなら直ぐに直さなきゃ。






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