小説

□『君と僕〜ひなたぼっこ〜』
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『君と僕〜ひなたぼっこ〜』



僕にとっては壬晴の体温がちょうど心地よい
あったかくて優しくて…フワフワする


それは
ひだまりの下でうとうとするような感じに似ていた…



「…壬晴は」
「ん?」
「布団みたいだ」
「…え?」


僕を包んでくれるから
ぬくもりがあるから


「…せめて違うものがいいな」
「…?」
僕はおかしなことを言ったのだろうか
壬晴が苦笑いをしていた




カーテン越しから風が入ってくる


静かな時間…
どこかで風鈴の鳴る音が聞こえる

「…壬晴?」
ふと視線を落とすと僕の肩らへんに寄りかかってうたた寝しかけている壬晴がいた
「ん…眠い」
寄りかかってはいけないと思ったのかな
床に寝そべろうとしていたから、つい
グイッと
「えっ…?」
無理矢理抱き寄せてしまった
「よい…」
「しーっ…」
「……」
蝉の鳴き声が微かに聞こえた
「このまま…寝ちゃおうかな」
甘えたような声で、ふふっと笑ってから
壬晴はまた僕の体に寄りかかってきた
「いいよ…おやすみ」






君といられるならどこだっていい
ただとなりで笑ってくれるだけでいいんだ



「…宵風は寝ないの?」
壬晴が目をつぶったまま話しかけてきた
「…いい、今日は」


すぐ近くで君を見ていたいから
その顔を独り占めしたいから


そんなこと言ったら君は笑うかな
僕のことおかしいって思うかな…?

「ねぇ壬晴、僕のこと…」
すやすやと寝息をたてている君に何話しかけているんだろう
…何だかバカみたいだ


こんなこと思うなんて…
自分でもおかしいと思う
…いつもより日差しが強いせいかな
すぐに、ぎゅっとだきしめたくなる



「壬晴…大好き」
君に内緒で、寄りかかっていた頭を優しくなでて額にキスをした


…君の寝顔を見ているのも好きだけど
やっぱり早く起きてほしい





笑った顔をみせて…







「よい、て…」



君が寝言で僕の名前を呼んでくれたのが嬉しくて
…ついぎゅっとだきしめてしまった



ひだまりの下で君と二人
優しい光に包まれてひまたぼっこ…

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