キリリク
□幼児化
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小さい春海の動作は一つ一つが危なっかしくて、しかし愛らしい姿に黎也も信時も知らず知らずのうちに顔がにやけていた。
それはもう初孫を喜ぶお爺ちゃんのようだったと、信時はのちに語っている。
「れー、あしょぼ!あしょぼ!」
だんだんととび跳ねながら、いつもならそんな事はいわないが、身体が小さくなったことにより、元から幼かった精神がさらに後退してしまったらしく、目をキラキラさせながら黎也を見上げていた。
あまりの無邪気さに、めんどくさい、などは言えずに、しかたなく頷いた。
「あ〜何するんだ?」
「おにごっこ!!」
興奮したように叫ぶ春海に苦笑いしながらも、黎也を信時はうなづいた。
「うんとね〜おには、はるがやるの〜〜」
本来ならじゃんけんで決めるのだろうが、この鬼ごっこの主導権は春海にあるようだった。
「鬼でいいんですか?」
普通、鬼役を立候補うする人なんていないだろう、とか思っていたが、春海は嬉しそうにニコニコしていた。
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