キリリク

□喧嘩
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俯いたまま動かなくなった春海に声をかけても反応もしなく、しばらく待っていたが何も言わなかった。

「…おい!…春海?一体ど「離れて!!」」

「何?」

眉間に皺をよせ不機嫌そうに言うと、ビクリと肩を揺らしたがキッと黎也を睨みつけた。

「どうしたんだ?」

春海の腕を掴むと、ギュッと唇を噛みいやいやと腕を振りほどきバシバシと黎也の胸を叩き始めた。
その力は弱く、身体が揺れることなく、だた好きなようにやらせていた。

しかし、その猫パンチがたまたま黎也の顔に当たり、ほほに爪で引っ掻いたような傷をつけた。

春海はハッとして手を引っ込めたが、黎也がその手をつかんだ。

「…っ!」

恐る恐る黎也を見ると、野獣のような鋭い眼光で春海を見下ろしていた。

あまりの恐怖に春海の口からは「あ…ァ…あ」と意味のない声が出ていた。

「お前を甘やかしすぎていたようだな」

スッと目を細め、そのまま春海の頭の上で腕をネクタイで一まとめにすると、来ていたTシャツを引き裂いた。




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