家宝たちと捧げ物

□暈唯月宵様との相互記念
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《重量級疑惑。》





「うーん…」
「どうした?本なんか睨みつけて」

先程から何か小さな冊子を読んではぶつぶつと呟いていたリンクが、とうとう首まで傾げ始めたので声をかけてみる。
リンクが読書をしている姿はあまり見たことがなかったので、もしやこれがヤツの読むときのスタイルかと思っていたのだが違うようだ。

もう風呂に入り終えたので刺激物になる珈琲は止め、かわりに少し温めのホットミルクを注ぐ。
ここはリンクの部屋なのだが、勝手知ったると言うヤツだ。
ホットミルクの入ったマグカップを相手に手渡して、自分の分を持ったままその隣に腰掛ける。
流石に男二人が腰掛けたら、ベッドのマットレスも重そうに沈みこんでしまった。

「ここにさ、アイクは重量級で、俺は中量級って書いてるんだよ」
「それがどうした?本当のことだろう」

ほらここ、と指差された箇所を見れば確かにそう書いてある。他のページもちらりと見たがどうやら、今回の乱闘に参加しているキャラクター達のデータが載っているものらしい。
今までこんなものがあるとは全く知らなかった。

しかし俺のラグネルは大振りの両手剣、それに対してリンクのマスターソードは少し細身なので、剣撃の一つ一つに加わる重みが変わってくるのは当たり前だ。
それは今まで何度も剣を交えてきたリンクもよく分かっていると思っていたのだが。
温めに温めたので火傷することなくこくこくと牛乳を飲みながら、俺まで首を傾げる。

「そうじゃないんだって。何ていうかな…体重っていうか体格的なことで疑問なわけ。」
「は?」

思っていることが上手く言葉に出来ず苛ついているのか、がしがしと頭をかき回しながら一息にカップを煽るとその勢いのままサイドボードの上に置いて、くるりとこちらを向く。
そして俺が持っていたカップまで奪い、残り僅かになっていたのも飲み干すと、同じように置いて、おもむろに抱き寄せてきた。

「っおい!」
「…やっぱり納得いかない」
「何なんだ一体っ」

突然の事で何の心構えもしてなかったので、俺の心臓が危ないくらいに早く脈打っているのが分かり、更に赤くなってしまう。
一緒に居て話すくらいなら何ともないのだが、肌を重ねた事があるとは言え、こうして接触すると途端に恥ずかしくなってしまうのは困りものだ。
これでも最初の頃に比べればマシにはなったのだが。

そっと肩や背中、腰と触感を確かめるように触れてくる手がどういった考えで動かされてるのか分からないので、緊張してくる。

「確かに結構筋肉付いてると思うけどさ…俺より重いって事はないよな」
「そういわれても…俺は自分の体重なんか知らん」
「んー…でも腰、細いし」
「ちょ、」

もう寝るだけと薄着な為、さわりと腰を撫ぜられる感触が感じられぞくりと肌が粟立つ。

何だか雲行きが怪しい気がする。

本能的に危険を感じて身じろぎするも、上体を押されベッドに倒れこんだかと思うと素早く覆いかぶさられて身動きが取れなくなってしまった。


「腕力もあるけど、こんな簡単に組み敷けちゃうし、ね?」
「〜馬鹿言ってないでどけっ!」
「なんで?」
「なんでって…もう寝る時間だろうが」
「じゃあ問題ないよ」
「問題あるだろっ」
「これも寝るだし。それに運動した方が良く眠れるって言うだろ?」
「あのな!」

このままなし崩しに行為に持ち込まれるのを阻止しようと言葉を重ねるが、リンクの方が上手のようで上手い事言いくるめられない。
したくないと言えば嘘になるが、頭が真っ白になって抑えが効かず、求められるままに痴態を晒してしまうのがどうにも恥ずかしくてしょうがないのだ。

「それに、アイクが俺よりも重いのか実地検証してみようかと思って」
「……は?」
「アイクが俺より重いのか重くないのかが気になって眠れなくなりそうなんだよ。協力してくれるだろ?」
「そ、それなら風呂場で体重計に乗れば…」
「いやいや、アイクが俺の上に乗ってくれれば分かるからそんな事しなくても大丈夫。」
「いや、だから……」

話す度に段々と近付いてくるリンクに気圧されるように、反論が上手く出来なくなっていくのが分かって冷や汗をかく。
明日は乱闘が入っていたはずだ、と明日の予定を思い出すが珍しく一日身体が空いている事を思い出してしまって、いよいよ言葉が出なくなる。

「別にいいだろ?それにさっき腰触ったとき、感じたんじゃないのか?」
「っ…このスケベっ」
「ぅ…それはちょっと傷付くんですが」

悔し紛れに投げつけた言葉が何故かショックだったらしく、少し眉を落とした表情を至近距離で見て内心溜息を吐く。
何だかんだ言って身体を許す程、恥ずかしくても身体を重ねてしまう程に好きなのだから、最後には白旗を揚げてしまう。

甘やかしてしまっているのか、それとも自分の身のうちにリンクを侵入させすぎてしまっているのかは分からないが。


「それは悪かった。詫びに体重量るのに協力してやる」

ほんの数センチしかなかった互いの距離を縮めて、承諾のキスをしてやった。



後日、体重計で量ってみたところ1kgだけリンクが重かった。




+−−−−−+−−−−−+

暈唯さんから相互記念ということで頂いた「甘くてちょっといやん」なリンアイです!

ふ お ぉ

アイクもリンクも可愛くてキュンキュンしっぱなしです。
読んでるうちに動悸息切れその他もろもろ…!
この文才を見習わねば!

素敵な記念を有り難うございました!


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