ドラクエ2

□DQ2 if
16ページ/24ページ

3.ムーンブルクの成立

 ロト三国を語るにあたり、忘れてはならないのがムーンブルクだ。
 ハーゴン襲撃により滅び、その後一旦の復興を遂げるもついには歴史から姿を消す王国だが、アレフがローレシア建国をするにいたる原因とそのための援助をした王国である。
 古くは勇者ロトより以前の創生の時代から存在し、その歴史は1000年以上もの昔にさかのぼる。
 精霊神ルビスが、大地と火山の神ガイアとともにアレフガルドを創造し、ラダトーム同様にムー帝国から連れてきた人々を移住させたのが、このムーンブルクの始まりである。
 ムーンブルクの王家の始祖は、ラダトーム同様神器を守る神官だった。ラダトームでは代々王家によって神器――太陽の石――は受け継がれてきたが、ムーンブルクでは月の欠片を王家に保管することをしなかった。信仰の象徴である月の石を管理するものと、人々を導き政を行うものとを分けたのだ。即ち、テパに月の巫女を、ムーンブルクには王家を、というように。
 ラダトームよりムー帝国からの移住者が多く渡ったムーンブルクでは魔法文化が根強く残った。邪神殺しの英雄の一人である王女が、強力な魔法使いであったというのもこのためだ。そしてそれがゆえにムーンブルクはハーゴンを生み、邪教の飲み込まれてゆくことになるのだが、それはここでは詳しく語らない。

 ムーンブルクが1000年もの長い間栄えてきた歴史の背景に、忌むべき風習があったことを知る人は少ないだろう。
 英雄アレフがこの国にやってくる少し前まで、ムーンブルクの王家は血で血を洗う歴史を歩んできた。
 時の国王達は己が地位を確固たるものにするために、王位につくやライバルたちを殺すのだ。実力だけがものをいう。そうしてより強く賢いものだけが歴史に名とその血を残していく。まさに弱肉強食の王家であった。さらにその力は国の外に対しても響き渡らせねばならない。ムーンブルクが広い国土を有するのは、長年にわたる侵略戦争の賜物である。
 アレフがムーンブルクを訪れたノヴァク王の時代に、ムーンブルクは最大版図を得ている。それから100年は広げすぎた領地経営に四苦八苦していたのがよくわかる。ノヴァク王の死後、ムーンブルクは外に兵を出してはいない。
 ムーンブルクの領土拡大政策も、ローレシアとサマルトリアが建国されたことでいったん落ち着きを見る。
 英雄アレフの娘であるアウレアを王妃に迎え、ムー帝国時代からの守護神であるルビスとガイアの覚えめでたいロトの血脈を王家に迎え入れたのだから、エドモン王はもっと強気に対外政策を進めてもよさそうなものなのだが、王妃アウレアを愛していたためか、父王の時代に手を広げすぎたためか、エドモン王の時代にはムーンブルクの領地は広がっていない。周知のとおり、この後ムーンブルクはこれ以上領地を拡張することなく歴史上から消えうせる。
 そして建国以来の慣習であった弱肉強食の政策ゆえに、ムーンブルクは国の旗頭たる王家の直系を失うことになった。

 そして、歴史は語られる
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ