ドラクエ2

□DQ2 if
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サマルトリア帝国秘史
 
※基本設定はif2「君僕+1」と同じなんです…(;‐_‐A。ローレがムーンと結婚するか、サマル妹と結婚するかの違い。こっちはサマル妹と。


ロレ×ムンだけどロレ×サマ妹、サマ×ムン
■キャラクター■

*アルマート(アル):ローレシア王子。18才。

*トランクァリオ(リオン):サマルトリア王子。17才。

*アウレリア:ムーンブルク王女。18才。

*エスティア(エスト):サマルトリア王女。14才。

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1.伝説から歴史へ

 かつて、アレフガルドを闇が覆った。
 神から光の玉を授かりし若者が闇を払い、アレフガルドに光を取り戻した。若者は伝説の勇者ロトの称号を授かりし後、何処ともなく姿を消した。
 そしてそれから、500余年。
 再び魔の居城より闇の権化が姿を現す。
 その名を竜王。
 かつて勇者ロトがもたらした平和の象徴「光の玉」をラダトームより盗み出した竜王は、ロトの末裔アレフにより打ち倒され、再び世界に平穏が訪れた。
 勇者アレフはアレフガルド王女ローラを伴い新天地に旅立った。



 ここまでが、一般的な勇者ロト伝説である。伝説は真実を内包するが、歴史ではない。
 伝説や物語は、新天地に渡ったアレフがローレシア・サマルトリアを建国し、長男にローレシアを、次男にサマルトリアを継がせて末娘をムーンブルクに嫁がせてロト三国を作ったと語っている。
 さも、ローレシアが盟主国であるかのように。
 しかし実際にはアレフがアレフガルド大陸からベルトリア大陸へ渡ってきたとき、すでにこの大陸の大半をムーンブルク王家が治めていた。
 大衆には知られていないことだが、アレフガルドのラダトーム王家同様、ムーンブルク王家もまた、ムー帝国から精霊神ルビスがこの新天地へと逃れさせた神官の末裔が治める最古の王国だったからだ。
 神の力を授かった「月のかけら」を守る一族として、ルビスに導き生かされた一族として、時のムーンブルク王はルビスの加護を受けた若者アレフと古の同胞を祖に持つローラを受け入れぬわけにはいかなかったのだろう。
 とはいえ、ラダトーム王国から逃亡同然に出てきたのであろう二人を、国元に置いておくには対外的なリスクが高すぎた。
 竜王との戦いによって疲弊したとはいえムーンブルクに対抗しうる唯一の統一国家、古き知恵を持つラダトームを刺激することは政治的に得策でないのは明らかだ。
 国を救った英雄と、直系の姫が国を出てこなければならなかった理由はわからない。
 その理由ばかりは、ローレシア城の書庫にも残されていないからだ。
 もしかしたらムーンブルクには残っていたのかもしれないが、ムーンブルク城はハーゴンの襲撃により燃え落ち、いかなる文献も残ってはいない。
 これは筆者の想像であるが、アレフは国を救った英雄ゆえに、次期王位継承者に疎まれ、国元にいられなくなったのではないだろうか。ローラ姫と恋仲だったのならばなおさらだ。
 ラルス16世が存命の間はいざ知らず、ローラの兄に当たる17世の御世では、アレフの存在はさぞ疎ましいものだったに違いない。
 こうしてラダトームを追われたアレフはムーンブルクにたどり着く。
 しかし、ムーンブルク国内に落ち着くことも許されず、ムーンブルク王から争いの絶えぬローレシア地方の平定を命じられ、体よく追い払われたのだ。
 肥沃な大地と、銀山に恵まれたローレシアは、それゆえに豪族が治める小都市国家が群立し、争いが絶えなかった。
 アレフガルドに竜王が現れた20年近くの間も、彼らの争いは続いており、民も、そして豪族たちも戦いに疲れていた。
 そこへ、大国ムーンブルク王の名の下、仲介に現れたのが伝説の勇者ロトの血を引く英雄アレフだ。しかも妻はラダトーム王家の姫だという。
 竜王の脅威が去った今、いつまでもローレシア内で小競り合いを続けていては外敵に付け入る隙となる、という思惑もあったのだろう。ローレシアの豪族たちは諸手をあげてアレフの傘下に入った。

 ここに英雄王アレフの治めるローレシア王国が誕生する。

 王国といっても、アレフは各領主にもともとの土地の領有権を認め自治を任せた。アレフが各豪族に約束させたのは、ローレシアの王都と王城の建築費用を分割で毎年の税として治めることと、軍の収集権と指揮権だった。
 王都は、これまでの主戦場でもあった平原に建築され、周辺の村落と特に力のない領主たちが人と土地を提供し王国直轄領となった。これを見る限りでも、後年ローレシア王家が世継ぎの王子の旅立ちにわずかな金貨しか持たせてやれなかったことに納得いただけるだろう。
 ローレシア王家には、人気はあっても金はなかったのだ。 
 英雄アレフの人気はさすがに高く、ローレシア大地の騒乱はたちまち沈静化した。
 アレフの存命中はもともとの豪族たちもおとなしく王家に忠誠を誓ったが、豪族たちの代が変わり、アレフの偉業が物語として風化し始めると豪族たちは元の性格をあらわにし始める。
 まず滞ったのが王都の建設費用の支払いだった。
 固有の銀山を持たないローレシア王家は財源を持たない。民を飢えさせぬための豊かな農耕地があるのだけが救いだった。
 建国100年が過ぎても、ローレシア城が未完成なのはこのためである。



 アレフがローレシア建国を果たした10年後、ラダトームのラルス17世からアレフ夫妻の出頭命令が届く。
 これまで、ムーンブルクで止まっていた抗議文書が、直接ローレシアに届けられたというわけだ。
 これには、ラダトームが国力を回復し、ムーンブルクに遠慮する必要がなくなったということと、アレフがムーンブルクの庇護を離れたという二つの意味をもつ。
 アレフとローラの罪状は、国家反逆罪。アレフには、ローラ姫誘拐と国宝であるロトの武具を盗み出したという罪までついている。
 もちろんアレフとローラはこれに応じず、老齢から病に伏せていたムーンブルク王の介入を受けることのなかったラルス17世は海を越えてローレシア大陸に兵を送った。
 ともに戦の時代を生きてきたラダトーム、ローレシアの兵たちは戦慣れしていたが、大きな違いが2つある。
 竜王に精鋭軍を全滅させられて再編成されたラダトーム兵と、ほんの10年前まで戦争に明け暮れていたローレシア兵。そしてローレシア軍の陣頭に立ち指揮をとったのが、英雄王アレフであったということ。
 これはラダトーム軍の士気をくじき、ローレシア軍の士気を高揚させた。

 退けはしたものの、ラダトームの国力は侮れない。そこでローレシアは大陸の西側に城を築きラダトームの前衛砦とした。
 これが、サマルトリア城である。

 サマルトリア地方の豪族の娘とアレフの次男ベルーノを娶わせ、サマルトリアの領主とした。
 これにより、サマルトリア地方の諸部族もまた、ローレシアの勢力化に入る。ラダトームの脅威を考えれば、当然の選択だっただろう。
 幼い領主夫妻の後見には、妻の実家であるサマルトリア貴族とローレシアの貴族がついたが、力関係は明らかで、サマルトリアは独立国とはいえローレシア政府の傀儡となるのである。

 アレフの存命中、最初の侵攻からわずか6年の間にラダトームの侵攻はあわせて3回行われたが、地理的に上陸地点が予見しやすく、どれも短期間で迎撃された。


 ローレシアの対外政略の一環として建国されたサマルトリアは、先にも述べたが傀儡政権だった。
 建国の性格からしてローレシアの影響下から抜け出すことができず、毎年の収益のほとんどを防衛費としてローレシアに吸い上げられていた。ただしくは、ローレシアの大貴族に、だ。
 そういった意味では、ローレシアのコリドラス王家もまた、傀儡政権であったのだ。アレフはただ盟主として存在し、戦の決定権しか持たなかったのだから。
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