◆ときめきトゥナイト
□お題外2
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毎日のこと
朝の天気予報は欠かさずに見る。
洗濯物の乾き具合に影響するからだ。
夏や真冬はいい。雨が降って、室内に洗濯物を干しても、つけっぱなしのエアコンのお陰で洗濯物も乾くから。
問題なのは季節の変わり目だ。
日中は汗ばむほどに暑くても、朝夕は肌寒いし、着る物も厚みが出てくるから乾きにくい。
テレビを見ながらそんな事を考えている自分に気がついて、ココは照れたように破顔した。
「なんだよ?」
「え?」
「急に笑うなよ。気持ち悪いな」
「気持ち悪いとは何よ!」
さっきまでのくすぐったいような幸せな気持ちが台無しだ。
「天気予報! 今日は洗濯日和だって!」
「ああ、昨日は曇ってたもんな」
洗濯物が乾くから喜んでいたわけじゃないわ! …それもあるけど。
ぷいっと卓から視線をそらし、ベットからシーツを剥がしにかかる。大物なので一人では苦労する。四苦八苦していると、何も言わずに卓が反対側からシーツを剥がしてくれた。少し、先程のムカムカが薄れる。
「いっぱい洗濯する?」
「うううん。あとはこれだけ」
「じゃあさ、食器はオレが洗うから出掛けないか。ほら、せっかくのいい天気だし」
「あー、そうね」
両腕いっぱいに抱えたシーツで前が見にくい。赤らんだ頬は隠せただろうか。
「クレープ買ってくれる?」
「いいよ」
シーツの向こうで見えなかったけれど、卓が笑ったのがわかった。
天気予報なんて、一緒に暮らさなければ気にしなかった。本の些細なこと、毎日のすべてが愛おしいのは、一緒にいるから。
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