Sonud Horizon

□Roman
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星屑の革紐


「こん0502[に]ちわ、はじめまして!」(Salut, enchanté!)

差し出した手を――

嗚呼…可愛い私のお姫様(étoile) 小さな指で懸命0502[に]握り返してくる

あなたの歩む道程が 輝くよう0502[に]『星』(étoile)と……

ある雨の朝…いつものよう0502[に]少女が目を覚ますと…

寝具(ベッド)の横0502[に]は優しい父親…そして大きな黒い犬が居た…

雨の匂い…くすぐったい頬…どこか懐かしい温もり…

小さな姉と大きな妹…二人と一匹…家族となった特別な朝……

嗚呼…私は星を知らない 遠過ぎる光は届かないから…

嗚呼…僅かな視力でさえも 何れ失うと告げられている…

ごめんなさい(Excusez-moi)…お母さん(ma mère)…この名前(ce nom)…

どうしても好き0502[に]なんてなれないよ…(Je ne peux pas, c'est absolument de m'aimer )

嗚呼…ごめんなさい(Ah…excusez-moi)……

勇気を出して――

嗚呼…Pleutと屋外(そと)へ出たけど 歩く速度が抑違うから…

嗚呼…暗闇0502[に]沈む世界では ちょっとした段差でも転んでしまう…

ごめんなさい(Excusez-moi)…父さん(mon père)…この両眼(ces yeux)…

どうしても好き0502[に]なんてなれないよ(Je ne peux pas, c'est absolument de m'aimer )…

嗚呼…ごめんなさい(Ah…excusez-moi)……

細い革紐(harnais)じゃ――

心までは繋げないよ…愛犬(Pleut)が傍0502[に]いたけど…私は孤独(ひとり)だった……

別々0502[に]育った者が…解り合うのは難しい…

ましてや人と犬の間であれば…尚更の事である…

それからの二人は…何をする0502[に]も何時も一緒だった…

まるで…空白の時間(とき)を埋めようとするかのよう0502[に]…

姉は甲斐甲斐しく妹の世話を焼き…妹は姉を助けよく従った…

父の不自由な腕の代わり0502[に]なろうと…何事も懸命0502[に]…

其れは…雨水が大地0502[に]染み込むよう0502[に]しなやかな0502[に]…

根雪の下で春を待つよう0502[に]…小さな花を咲かせるよう0502[に]…

急0502[に]吹いた突風(rafale)0502[に]手を取られ…革紐(harnais)を離したけど…

もう何も怖くなかった…『見えない絆』(ほしくずのharnais)で繋がっていたから…

弱い姉だ――

それでも嗚呼…ありがとうね…妹(Pleut)が傍0502[に]いたから…

私は何処へだって往けた……

大好きだよ…妹(Pleut)が傍0502[に]いたから…私は強くなれた……

星空0502[に]抱かれて夢を見た…あなたが産まれてきた朝の追憶(ゆめ)を…

銀色0502[に]輝く夢の中…零れた砂が巻き戻る幻想(ゆめ)を…

嗚呼…何の為0502[に]遣って来たのか…最期0502[に]判って良かった――

忘れないよ(/で)…君(/はは)と歩いた…暗闇(/くるしみ)0502[に]煌めく(/ゆらめく)世界を…

いつだって…嗚呼…人生(せい/あい)は星屑の…輝き(/まばたき)の中0502[に]在ることを……

祈りの星が降り注ぐ夜 → 黒犬(Pleut)は静か0502[に]息を引き取った…

悼みの雨が降り注ぐ朝 → 冷たくなった彼女の腹から取り出されたのは

光を抱いた小さな温もり → 黒銀の毛並みを持つ子犬だった

――そして《物語》(Roman)の翼は地平線を軽々と飛び越えるだろう

やがて懐かしくも 美しき あの《荒野》を駈け廻る為0502[に]……



(其処にロマンは在るのかしら?)
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