ドラクエ3
□お題SS
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ナイショ
「で、どうだったの?」
うりうりと肘で腕を突かれる。セイなら問答無用で張り倒すのだが、リリアが相手ではそうもいかない。
アレクシアは困惑顔でニヤニヤ笑うリリアから体を引いた。
「どうってなにが」
「船よ! 二人きりだったんでしょ〜〜?」
「別に普通だよ」
「ウソっ。そんな風に見えないわよ。白状しなさい!」
「きゃーー!」
後ろから抱き着かれ脇をくすぐられる。たまらず悲鳴を上げてアレクシアは逃げ出すが、リリアはしつこくアレクシアの腰にしがみついた。
「ないよ、ナイ! マルロイも一緒だったんだよ? 疑うなら聞いてくればいいじゃない!」
身をよじらせ抵抗する。力ずくで剥がそうとしないのは、まだ理性が残っている証拠だ。
「え〜〜?」
アレクシアを解放したリリアは、唇に人差し指をあて、かわいらしく小首を傾げた。
照れるアレクシアから事情を聞き出すから楽しいのであって、こうしてじゃれているのだが、どうやら簡単には口を割りそうにない。
「んー」
その姿勢で考え込むリリアに、諦めてくれたかとアレクシアが胸を撫で下ろしたとき、これまで以上の邪悪さでリリアがニカっと笑った。
(げっ)
「うん! じゃあ、そうする」
マルロイ相手にアレクシア達の話を肴に酒を飲むのも悪くない。マルロイから言質をとれば、アレクシアとて話さざるをえないだろうし。
「じゃあね〜。また後で♪」
にんまりと笑い、スキップしながら出て行ったリリアに、アレクシアは微妙に不安を覚えながらも一先ず解放された事に安堵した。
船では、なにもなかったのは本当だ。けれど追究されたら、それより前の事を話してしまうかもしれない。
無意識に唇に触れていた。
森でのあの出来事は、忘れようと約束したけれど、
(キス、したなんて…)
あの時の自分達は、あの二人に影響を受けていたのだから、自分達ではないのだと自分に言い聞かせてきたけれど、
唇に残る感触は、今もアレクシアの胸をざわめかせる。
「言えないよなぁ…」
たいていのことはリリアに話していたアレクシアだが、こればっかりは話せないと、火を出しそうなほど熱を持った顔を両手で挟んだ。
2010年11月拍手おまけ