◆ときめきトゥナイト

□お題外2
59ページ/62ページ

勘違いではありません


はぁ

今日、何度目かのため息を吐いた。

このため息の原因は、くそ生意気な弟にある。あろうことかあのバカは、生意気にも彼女ができたらしく、明日はその彼女を家につれてくるのでオニイサマであるこの俺に帰ってくるなと言うのだ。

ムカつく話だろうと級友に溢したところ、ちょうどいいからとゴウコンに誘われた。
何がちょうどいいのか400文字以内で説明してくれ。

はっきり言って俺は女の子に免疫がない。弟と違って。
一途なハツコイに敗れた後は、非建設的な恋しかできないでいる。
だって。なんだって女の子ってやつは恋をしているとかわいくなるんだ? 他人に恋をしている女の子。誰かを控えめに見詰めている女の子。それがイイ!
ギャーギャーとやかましく、人の姿を見れば許可なく写真を撮るような輩は女の子とは呼ばない。
女の子というのは真っ黒黒髪のストレートで、小さくて、守ってあげなきゃいけない!って感じで、笑顔がかわいくて…

はぁ

「ひーくん煩いよ」

ごっ!

捲っていただけで見ていなかった参考書を横からかっさらわれて、乱暴に隣に座ってきたのは、ゴウコン話を振ってきた級友だった。

「それより明日、参加するだろ? 写メ来たから見てみ? この子なんかお前好きだろ?」
「あぁん?」

イケイケなポーズのバカっぽい女どもになんぞ興味もないわ。

…ん?

「ほら、この子」

拡大されたのは黒髪のストレート。無理矢理引っ張り込まれたのが丸分かりの迷惑そうな顔をしている。

あれ? なんだか、この子…

見たことがある。

「誕生日なんだと。で、カナが彼氏を世話してやりたいっていってさぁ。良い子だろ? 俺のかなみちゃん!」
「あー、はいはい。うざい」

付き合い始めたばかりの他校の彼女との幸せな日々を語り始めた級友には勝手に喋らせておいて、記憶を反芻する。

確か、小学生の頃だ。
教室の隅で大人しく誰かを見ていた。覚えているのはそのきれいな横顔。他の女子はうるさくて怖かったけど、彼女だけは違っていた。
六年の時、名前の由来を調べてくる宿題がでて、恥ずかしそうに、光輝く雪の朝に生れたからだと発表していた。

愛良姉ちゃんとは違うけど、かわいい子だと思ったんだよな。

「彼女、来るのか」

つい、声に出して呟いていた。

それなら行っても良いな。

でも、本当に彼女だろうか?

…確かめてみても、いいよな?

地元駅から彼女の学校までを逆算すれば、駅で張っていれば事前のコンタクトは可能だ。

ちょっとストーカーじみているかもしれないけど。もし彼女なら、いや、十中八九本人だ。他の野郎にちょっかい出されるのは面白くない。

「ちょー、ひーくん聞いてる? 聞いてよー!」
「うるせぇよ。くっつくな! 参考書返せ!」


to be continue
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ