小説・悠久の車輪

□悠久の車輪ほのぼの小説・聖歌隊シャテルの謎
1ページ/1ページ

ほのぼの小説第2回目です!

画像は収集家の私でも見付けられなかったので、自分で撮影しました。


それではスタートです!










この世界には6つの国家がある。

神聖帝国アルカディア

神秘の森シルヴァランド

巨人山脈グランガイア

海洋帝国スケールギルド

竜王の翼バハームートロア

不死教団ネクロポリス



今回は神聖帝国アルカディアの物語。




この神聖帝国アルカディアは重装備の騎士とそれを補佐する聖歌隊を抱えている軍事国家だ。

その聖歌隊はほとんどが女性である。

――王宮の軍事室

「じゃあ今日は解散かな」と、偉そうに言うのは『魔笛のヴァトン』である。



今回の会議は派遣部隊で参加していない者がいるため全員でない。
全員居たら……、多分会議にはならないよ、うん間違いなく。
解散した者達は散り散りになっていく。
その中王宮を歩いてる一人の少女がいた。
名を『光の歌い手アヴェル』である。



彼女は皆の相談役として凄く慕われている。
そんな彼女だから「アヴェルちゃ〜ん」とこんな風に相談が絶えないのだ。
アヴェルは甘い声のする方へ振り向くと。
歩いてるのか走ってるのかわからないが、彼女なりに走ってるのであろうというスピードで向かってくる。
名を『賛美の歌い手シャテル』と言う。
学校に行けない貧しい子供達に無償で勉強を教えているとても優しい人だ。
「どうしました?シャテルさん」
「ちょっと相談聞いてもらえないかしら…」
人生経験がアヴェルより上なシャテルが、アヴェルに相談とはかなり珍しい光景である。
「私で良ければ…」
「ありがとうアヴェルちゃん」


二人は場所を変えて噴水広場にいた。
「で、相談って?」
「うん…、私子供達に勉強教えてるじゃない?その…子供が私に怯えてるみたいで…」
「怯えてる?シャテルさん優しいのに?」
あのシャテルに子供達が怯えてるのは考えにくいが…。
「私、子供達には優しくしてるはずなのに…」
と、シュンとへこむ彼女。
こんな彼女の姿は見たことない。
「なんかの間違いでは?」
「子供達の表情見ればわかるわよ…授業直前にヒソヒソしてたり…」
「姉さん意外とスパルタ派何じゃねぇの?」
話をややこしく奴が目の前に現れた。
『黒庸兵隊のリオン』である。
「真剣になりすぎて自覚が無いとか…ぐふぉお!!」
アヴェルの魔法がダイレクトにヒットした。
本来なら魔法位意図も簡単に避けるリオンだが、この時のアヴェルが天使ではなく堕天使に見えた。
「お望みなら連続で射ちましょうか…?」
えらい怒気を放つアヴェル。
「勘…弁して…くれ…」
「そこの虎、連れていきなさい…」
「くぅぅん…」
と、首元から引き摺って行き、やがて姿が見えなくなる。
やり過ぎたとちょっぴり反省。
「でもリオン君の言うとおりなのかも…」
「そんな事ないですよ!シャテルさんは優しいですし何かの間違いなはずです!自信持ってください!」
「アヴェルちゃん…」
と、その時。
リーン…、ゴーン…。
お昼を告げる金が高良かに響いてきた。
「時間ね、ごめんね引き留めちゃって…」
「いえ私は別に…、これから子供達に授業ですか?」
「ええ、アヴェルちゃんに相談乗ってもらえて良かったわ。うん、自信が出てきた!」
「力になれて良かったです」
「それじゃあねぇ〜」
と、シャテルは去って行った。




お昼を過ぎ、夕方を迎えたアルカディア。
アヴェルは買い物中で街を歩いていた。
すると向こうから子供達が数人歩いてきた。
その表情はとても疲れているようにも見てとれる。
「あれってシャテルさんの…」
アヴェルは子供達の顔に多少見覚えがあった。
シャテルの生徒達である。
「僕たちシャテルさんの生徒だよね?」
「あっ…アヴェルお姉ちゃん…」
「どうしたの?」
「別に…ただ疲れただけだよ…」
相当疲れているのか子供達には覇気がない。
「ねぇ、シャテルさんの授業ってどんな事やるの?」
「普通の授業だよ…、ただ今日は失敗した…」
遠くを見るように影を落とす子供達。
「し、失敗?」
「な、なんでもないよ!じゃあねアヴェルお姉ちゃん!」
「あっ、ねぇ」
「ん?」
「シャテルさんは…嫌い?」
「大好きだよ、なぁ?」
と、回りの数人も。
「私、先生大好きだよ優しいし」
他の子も同じ返答だった。
「そう…ありがとうね」
「ばいばーい、アヴェルお姉ちゃん!」
子供は無邪気でいいなぁ、と微笑みを見せる。



次の日。
「シャテルさん今日授業を見に行ってもいいですか?」
どうしても真実が知りたいアヴェルは強行策にでた。
「是非!」
シャテルは笑みでOKしてくれた。




授業は至って普通だった。
別に子供達が苦になるような内容ではなかった。
むしろ微笑ましい位だ。
シャテルがある部分を言った時。
「ああ、あの大天使ですね。神々が創ったって言う」
思わずアヴェルは口を開いてしまった。
しかし、子供達の様子がおかしい。
皆アヴェルを凝視していた。
「アヴェルお姉ちゃん…」
「言ってしまったか…」
「え?」
気付いた時には時遅し。
「そうです!その大天使を創ったのは古代の神々で……」
急にシャテルの人格が変わった。
一人の子供がアヴェルに近づいて「シャテル先生、神さまの話しになると大変なんだよ…」と、言った。
「こら!授業中は立っちゃいけません!アヴェルちゃんもそこに座りなさい!」
「は、はい!」
アヴェルは説教されてる気分になった。
空いてる席にすわりシャテルの話が始まる。
時間はすでに四時間が経ち、日も沈みかけていた。
いい加減疲れてきて、いろいろ限界だった。
逃げよう!そう決意したアヴェルは立ち上がった。
「あら、アヴェルちゃん何処に?」
「ちょっとお手洗いに…」
これなら隙を見て抜け出せる、と思ったが…。
「あら、お手洗いはこっちよ」
出口と全く反対側だった。
この日アヴェルは夜までシャテルの話しを聞かされていた。
そして「後でリオン君に謝ろう…」と呟いた。



終わり

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ