テニスの王子様

□宍戸先輩の一言にときめく5題
4ページ/7ページ

3.バーカ(鳳)





「おい長太郎、起きろ!」
「…ふぇ?」



そよそよと気持ちの良い風が吹く木陰で寝ている所に、
聞き逃せない声が響き渡った。
宍戸さんの声って、目覚まし時計よりも
俺の目を覚ましてくれる、間違いない。



「いつまで寝てやがる、休憩終わりだぞ」



まだ眠くて重い瞼を薄らと持ち上げて、声のする方を見やれば、
人差し指にラケットを立てた宍戸さんが立っていた。
宍戸さんって、本当にこれ好きだよなぁ。
ふとした瞬間に、自然とやってる気がする。



「もう少しだけ寝てちゃ駄目ですか?」
「駄目に決まってんだろ、寝ぼけてんじゃねぇ」
「ですよねぇ」



そして、宍戸さんって、ちょっぴり厳しい。
まぁ、俺なんかへの厳しさよりも、
宍戸さん自身への厳しさの方が、遥かに上だけど。



「お前が来なきゃ、練習になんねぇだろ、バーカ」



それに対して、俺はきっと、宍戸さんにとても甘い。
彼に「バーカ」なんて言われても、
酷いなんて、欠片も思わないどころか、
視界に入れて貰えて嬉しいとまで思っているのだから。





(暴言だとしても、愛のこもったその一言が、たまらなくときめくんだ)





→4.待ってろ(神尾)
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ