テニスの王子様
□宍戸先輩の一言にときめく5題
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3.バーカ(鳳)
「おい長太郎、起きろ!」
「…ふぇ?」
そよそよと気持ちの良い風が吹く木陰で寝ている所に、
聞き逃せない声が響き渡った。
宍戸さんの声って、目覚まし時計よりも
俺の目を覚ましてくれる、間違いない。
「いつまで寝てやがる、休憩終わりだぞ」
まだ眠くて重い瞼を薄らと持ち上げて、声のする方を見やれば、
人差し指にラケットを立てた宍戸さんが立っていた。
宍戸さんって、本当にこれ好きだよなぁ。
ふとした瞬間に、自然とやってる気がする。
「もう少しだけ寝てちゃ駄目ですか?」
「駄目に決まってんだろ、寝ぼけてんじゃねぇ」
「ですよねぇ」
そして、宍戸さんって、ちょっぴり厳しい。
まぁ、俺なんかへの厳しさよりも、
宍戸さん自身への厳しさの方が、遥かに上だけど。
「お前が来なきゃ、練習になんねぇだろ、バーカ」
それに対して、俺はきっと、宍戸さんにとても甘い。
彼に「バーカ」なんて言われても、
酷いなんて、欠片も思わないどころか、
視界に入れて貰えて嬉しいとまで思っているのだから。
(暴言だとしても、愛のこもったその一言が、たまらなくときめくんだ)
→4.待ってろ(神尾)