テニスの王子様
□宍戸先輩の一言にときめく5題
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1.来いよ(日吉)
「おい若ー」
歩く俺の背後から、呑気な声が聞こえてくる。
誰の声かなんて、振り返らずとも分かる。
俺の中で、この声だけは、他の誰とも間違えようがないのだから。
「お前、今日空いてる?」
そう、宍戸先輩だ。
ちなみに、俺のことを「若」と呼ぶ先輩は、
彼くらいだったりする。
「…空いてますが、なんですか」
正直な話をすれば、仮に空いて無かったとしても、
宍戸先輩の為ならば、無理にでも空けるのだが。
「今日祭りやってるからよ、若もどうかなって」
「俺が人多い所嫌いなの、知ってますよね」
「いや、まぁ、そうなんだけどよ…」
まぁ、人の多い所が嫌いなのは事実だとしても、
宍戸先輩が居るなら、構わなかったりする。
本人には言わないけど。
「なぁ、来いよ、若」
しかも、こんな風に誘われたのならば。
「仕方無いですね」
嫌いな所にだって出向くのが、男ってもんだろう。
(少しキツめなその一言が、たまらなくときめくんだ)
→2.好きだ(財前)