テニスの王子様

□貧血
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『やば…』



突如、まるで砂でも入ったかのように、
自分の視界がおかしくなった。
あまりのおかしさに、その場に立っていられず、
糸が切れたように座り込んでしまった。



あぁ、頭がクラクラする…



「宍戸、どないしたん? また貧血か?」
「…ん」



そんな俺のもとに、隣のコートで練習をしていた忍足が
態々近寄り、声を掛けてくれた。
こういう時、一番に声を掛けてくれるのは、いつも忍足だ。



「宍戸の貧血は、暫く黙って寝とれば、落ち着くんやったな。
 歩けんやろ、部室連れてったるわ」
「わりぃな…」
「えぇって。 持ち方はいつものでえぇやろ…よっと」



動けない俺を、忍足がひょいっと持ち上げた。
俗に言う【お姫様抱っこ】という持ち方で。
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