テニスの王子様
□テニス馬鹿
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「そこまで! 15分休憩だ!」
正レギュラー専用コートに、部長である跡部の声が響いた。
その声が聞こえたのとほぼ同時に、
俺は誰にも気付かれない内に、近くの暗がりへと移動した。
「うぇ…」
今日は昼間から、頭痛と吐き気が止まらない。
今も、吐き気に逆らうことなく口を開けたのだが、
すでに全て吐き出してしまっている身体からは、
黄色い胃液が数滴吐き出されただけだった。
まぁ、全てっつっても、朝食だけの話だけど。
だって、昼食は何も食えてねぇし。
「はぁ…」
今俺が、こんな状態でテニスをしていて、
一人暗がりで吐き込んでいることになど、
誰も気づいてはいないだろうが、もし気付かれでもしたら、
間違いなく、瞬時に帰らされるに違いない。
けれど、部活を早退するのだけは、どうしても嫌だったし、
参加出来ないにしても、せめて練習内容だけでもみていたい。
そう考え、練習に参加したのだが、やはり、
今の身体には、大きな負担でしかなかったようだ。
今の体調は、練習開始前よりも遥かに悪い。