テニスの王子様

□心を閉ざした5題
2ページ/7ページ

1.スーパー・チャイルド(跡部)





俺は、小さい頃から勉学に励み、
テニスに明け暮れ、己を磨き上げてきた。
そんな俺のことを、周囲は【天才】だの、
【優等生】だのと、好き放題言っている。



別に、そういう風に見られたくないわけではないし、
むしろ、そうやって呼ばれることは気持ちが良い。
自分の力、存在…そういったものが、
周囲に認められていると、実感出来るから。



だが、俺が俺のことを認めてもらいたい人物は、
近所の人達や、見ず知らずの人物ではない。
親父、御袋…そう、【家族】だ。



俺は、家族に「よくやった」と、認めてもらいたい。
「お前は家族の誇りだ」と、言ってもらいたい。
その為に、ずっと頑張ってきたんだ。
いつか認めてもらえると、言葉を掛けて貰えると信じて。



けれど、中三になった今でも、望みは叶わない。
きっと、今の俺は「出来て当然」のレベルなのだ。
【跡部】ならば、凄くもなんともない、誇りなどではない…



ならば、まだ頑張らなければ。
今までの行いでは、足りないということなのだから。



あぁ、いくら頑張っても、足りない…
どこまで頑張れば、俺は家族に認めてもらえるのだろうか。





(優等生 / 家族の誇り)





→2.スケープゴート(赤也)
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ