テニスの王子様
□跡宍前提な君を、愛してた5題
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5.ただ君だけを、愛してた(跡←忍)
「何サボってやがる」
中庭で一人日向ぼっこ中の俺に声と影がかかり、
ゆるゆると目を開ければ、青い瞳と目が合った。
声と影の主である、跡部の瞳や。
「なんや景ちゃん、デートのお誘いか?」
「そのふざけた呼び方をやめろ。
それと、誰がお前をデートになんぞ誘うか」
「そりゃ残念」
本当は知っとる。
跡部が来たんは、練習をサボってる俺を捜しに来ただけで、
デートのお誘いなんかじゃないことくらい。
というより、跡部がデートに誘うんは、宍戸だけや。
「ふざけたこと言ってねぇで、さっさとコートに戻るぞ」
「なんや、冷たいなぁ」
「いい加減にしねぇと、その面踏み潰すぞ」
部長である跡部は、立場上、正レギュラーである俺を連れ戻しに来ただけ。
さっさとコートに戻りたいのは、宍戸の傍に居たいから。
俺は全部知っとる。 何故かって、そんなん聞くだけ野暮や。
愛しとる奴を見とれば、そいつが誰を見て動いとるのかも、
知りたくなくても知ることになる。
あぁ、本当に…
(ただ君だけを、愛してた)
→あとがき。