テニスの王子様

□跡宍前提な君を、愛してた5題
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1.泣きたいくらい、愛してた(宍←日)





「若!」



流れ落ちる汗を乱暴に拭いつつ、
声のした方に視線を向ければ、
制服姿の宍戸先輩が手を振っていた。
彼は引退後も、他の先輩達よりも頻繁に
テニスコートへ顔を出しにやってくる。



「調子はどうだ、あーん?」



ただし、彼の後ろには、必ず跡部さんがいる。
彼は頻繁にテニスコートへ顔を出しにやってくるが、
一人でやってくることは、決してないのだ。



だから、彼がいくら顔を出しにやってきてくれたとしても、
俺が彼と二人きりで話すことなど、出来はしない。
どんなに俺が彼を想っていたとしても…
いや、想えば想う程、彼は遠くへ行ってしまう。



「いつも通りですよ」



俺の調子も、貴方達の顔の出し方も。
いつまで経っても、俺は跡部さんの監視対象から外れないらしい。
思わず、気持ちのまま、顔が緩んでしまいそうだ。
あぁ、本当に…





(泣きたいくらい、愛してた)





→2.束の間の夢を、愛してた(宍←岳)
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