テニスの王子様
□強引に慰める彼のセリフな跡宍
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1.なに泣きそうな顔して笑ってんだ
「なぁ跡部、飯行かね?」
宍戸の誘いで、何気なくやってきたファミレス。
普段の俺なら、ファミレスなんぞに足を運んだりはしないが、
宍戸が傍に居るのであれば、話は別だ。
自分で言うのもなんだが、俺は宍戸にとことん甘いらしい。
そんな宍戸はというと、俺の目の前でしきりに話し続けている。
テニスのことや、友人とのこと。
家でのことや、テレビで知ったこと。
ただ、一つだけずっと避けている話題がある。
「なぁ、お前は卒業したら、どうすんだ」
「…え?」
「他の奴らのことはいい、お前の話を聞かせろよ」
そう、宍戸は、自分自身のことを一切話していなかった。
恐らく、今日本当に話そうとしていた内容はそれなのだろう。
「俺は…氷帝の高等部に進むかな、特にやりたいことも見付かってないし」
「どっか選べる程、頭良いわけでもねぇしな」と、
苦笑いを浮かべながら、宍戸は頬を軽く掻きつつ、俺に告げた。
だが、その答えは、俺の望む答えじゃねぇ。
しかも、だ。
「なに泣きそうな顔して笑ってんだ」
「跡部…」
腕を伸ばし、宍戸の頭をぽんぽんと撫でてやれば、
宍戸は俺から視線を逸らしたが、されるがままになっている。
「俺の傍に居たいなら、そう言えよ宍戸」
好きな奴の希望の一つや二つ、
叶えられなきゃ、俺様じゃねぇだろ?
→2.隣りにいてやってもいいぜ?