テニスの王子様

□THE ULTIMATE HARD WORKERな跡宍
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7.SHOOT DOWN





「な、なぁ…景吾?」



ベッドに一人ゴロゴロしている宍戸が、
少し戸惑ったように声を掛けてきた。



「どうした?亮」



二人きりの時だけは、俺のことを「景吾」と呼ぶ、
その姿が可愛くて堪らない。
俺が「亮」と呼べば、照れるところも、だ。



そんな宍戸に、俺は声を掛けつつ、近付く。
宍戸が先程のような声の掛け方をする時、
実は不安で一杯なことを、俺は知っているから。



宍戸が寝転がっているベッドに腰掛け、
枕に埋まっている頭を撫でてやれば、
ゆるゆると視線を俺に向けて。



「景吾は…やっぱ、女の方が良いのか…?」
「…は?」



発された言葉に、俺の脳裏をおかしな空気がかすめる。
宍戸は、どこで聞いた話してんだ…?



「だって、忍足が…『景ちゃんなら、毎日女に困っとらんやろ』って…」
「あぁ…そういうことか」



あの変態エセ眼鏡野郎め、宍戸が毒の入った自分の話を真に受けて、
真剣に悩む姿を楽しんでやがるな。
まぁ、忍足の野郎が仕込んだ小さな悪意なんて、俺様にかかれば瞬殺だがな。



不安な表情のまま、俺の様子を窺う宍戸を、
頭から強く抱きしめてやる。



「俺を見てればわかるだろ?俺はいつでも亮だけだ。女なんていらねぇ。
 触れてるこの手が分かるか?確かなものはこれだけだ」
「景吾…」



俺の言葉に、宍戸の緊張と不安が解けていく。
宍戸は忍足達を楽しませる人形じゃねぇぞ。



「どんな女が現れようと、関係ねぇ。逃がしはしない、お前を絶対」
「あぁ、俺も、逃げない。俺の未来をつかんでんのは、景吾だけだ」



必死に抱き返してくる宍戸の額に、
誓いのキスを一つ落としてやれば、
宍戸はいつものように、顔を真っ赤にして照れた。





→8.Eternal
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