テニスの王子様

□THE ULTIMATE HARD WORKERな跡宍
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3.DEEP





「あのバカ…」



部活中、宍戸は跡部のことをちらりと見やる。
いつも通りに部員をまとめあげている姿は、普段と何ら変わりがない。
勿論、周囲もそう感じている。



しかし、宍戸には分かっていた。
跡部が体調を崩しているということを。
朝練の時から、異変には気付いていたのだ。



なら、何故休ませないのか。
他ならぬ、跡部がそれを望んでいるからだ。



体がすり減ろうと、周囲にバレるようなヘマはしない。
跡部はいつでも完璧でなければならない。
そうでなければ、打たれてしまうのだ。
誰よりも突出している杭なのだから。



『誰にでも完璧な嘘吐きやがって…辛いくせに』



こういう時の跡部は、酷く孤独だ…と、宍戸は思う。
体は相当だるいだろうに、本心を曝け出すことは許されないのだ。



さて。
そろそろ、部活が終わる時間だ。



「部活が終われば、もういいだろ?跡部」



二人きりになったら、その時は。
嘘つきの彼をゆっくり休ませてやろう。
深い眠りについて、好きな夢を見ればいい。
せめて、自分の前でだけは、飾らずにいられるように。



跡部が発した部活終了の合図と共に、宍戸は嘘つきな跡部に向かって足を踏み出した。





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