テニスの王子様

□THE ULTIMATE HARD WORKERな跡宍
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2.Wild Soul





「なんや亮ちゃん、少しは俺のことも見てーな」



困ったように笑いながら、忍足はコートを後にした。
今の今まで、忍足は跡部と練習試合をしていた。



氷帝レギュラーの中でも、跡部の練習相手が務まる者は限られている。
氷帝の頂点に君臨している男が、己の限界を超えようと行う練習だ。
ここにいる忍足といった、いわゆる【天才】と呼ばれる者であることが第一条件となる。



「きっと、酔いしれとるんやろうなぁ、跡部のプレーに。」



そんな忍足は、他人の感情、無意識の視線、言動をいち早く察知する人間でもある。
今だってそう。
己との練習試合を行う跡部を真っ直ぐに見詰める視線があることに、当然の如く、気付いていた。



そして、その視線の先には、跡部しか映っていないことにも気付いている。
忍足なんぞ、欠片も映っていやしないのだ。



「なんや、恋愛感情は無くとも、妬けてまうわぁ」



跡部との試合が終わったと同時に、さっさと練習に戻っていった宍戸の背中を見やる。



進化する跡部に置いていかれぬよう。
見果てぬ夢を掴む跡部の傍に居れるよう。



宍戸には、もたもたしている時間など無いのだ。



いつか、彼が自分に目を向けてくれる時がくるのだろうか。
否、無いであろうことを、忍足は心のどこかで分かっている。



それならば、いっそ。
どこまでも、二人で突き進んで行くが良いと思う。
自分の割り込める隙間など、無い所まで。
そして、その手助けをしよう。



氷帝の天才が抱える気持ちを、当の本人達が知るのは、まだ先の話だ。





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