テニスの王子様

□THE ULTIMATE HARD WORKERな跡宍
12ページ/15ページ

11.Dream Maker





「亮、お前、視点がズレちゃいねぇか?」



宍戸を除き、誰も居なくなった準レギュラー部室で、
跡部は宍戸を押し倒していた。
上から見下ろされる体勢となった宍戸は、
気まずそうに視線を逸らした。



「そんな、すぐひび割れそうな心、
 大事に磨いてどうすんだ。
 さっさと叩きつけてぶっ壊せよ」



怒るわけでもなく、かと言って、甘やかすわけでもなく。
宍戸に気付かせるように、跡部は静かな声色で語りかける。



「諦めんなよ。もう正レギュラーに戻れないなんて、
 勝手に決めつけてんじゃねぇ。
 今のてめぇを、いつかてめぇ自身で誇れんのか?」
「それは…」



跡部の言葉に、宍戸の瞳がふるふると揺れ動く。
宍戸自身も、頭で理解はしているのだ。
嘯いても、誰も聞いちゃくれない。
誰かのせいにしたって、それで何か満たされる訳じゃない。



「振り向くな。逃げ出すな。
 お前はまっすぐ前だけ見つめて、昨日よりも今日、
 太陽の下(コート)の下で強くなっていけばいい」
「景吾…」



跡部の名を呼ぶ声と同時に、宍戸の瞳が跡部の瞳を真っすぐ捉える。
その瞳には、先程までは無かった力強さが滲み出ていて。
ようやく自分の好きなその瞳で見つめ返してきた宍戸に、
跡部はふわりとした笑みを浮かべる。



「失うモノを恐れてんじゃねぇ。
 てめぇが叶えたい、叶えてく夢は、
 てめぇ自身で作るもんさ」



「亮の持つ、熱い想いは、いつだってNo.1なんだからよ」
と、耳元で囁いてやれば、宍戸からは、
以前と同じ調子で「バーカ」と返ってきて。
その声に、跡部は更に笑みを深くした。





→12.Oblivion...
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ