テニスの王子様

□THE ULTIMATE HARD WORKERな跡宍
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10.WILL





「あ、これ俺が髪長かった頃の写真じゃん」



年末。
跡部は、宍戸と共に自室の大掃除を行っていた。
そんな中、机周りを掃除していた宍戸からの言葉に、
跡部が覗きに行けば、そこには
数枚の懐かしい写真が並べられていた。



三年生に上がってから、テニス部の面々と撮った写真。
向日あたりが隠し撮りしたであろう写真や、
滝が連写していたであろう試合中の写真など、
様々な物があり、その中には、
宍戸が長髪の頃の写真も沢山あった。



その写真を見た宍戸は「これトリートメント変える前のだなー」
などと、思い出を振り返っている。
その顔には、跡部が哀しいくらい、
誰よりも愛して止まない微笑みが浮かんでいる。



ずっと伸ばし続けた黒髪をバッサリ切り落とすことに、
何の躊躇いも無かったわけではない。
しかし、宍戸には、レギュラーに復帰し、勝利するという夢があった。



その為に、髪を切った。
その時に、沢山悩み、沢山涙を零していたことを、跡部は知っている。
だからこそ跡部は、今自分の手元にある、宍戸の声を、笑顔を、
もっと近くに感じ、守り続けていきたいと心に誓う。



「亮」
「ん?」



跡部に呼びかけられ、写真から顔を上げた宍戸の唇に、
誓いのキスを一つ落として。



「例えどんな事が起きても…
 俺はお前をずっと守るぜ。
 誰に反対されても、な」



自分よりも細く、小さなその身体を、
力強く抱きしめた。





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